「セキスイかわらU」無石綿化による弊害
「かわらU」は、1975年(45年前)に登場、2009年9月廃盤。
かつては、屋根を葺き替えるなら「セキスイのかわらU」と言われるほど需要の多かった屋根で、1991年に完全無石綿化(ゼロアスベスト=ノンアスベスト)されました。
「かわらU」は、台風や地震に強く非常に優れた屋根でしたが、環境問題を考え他の屋根材に先駆け無石綿化した事で様々な問題が起こるようになりました。
塗膜・基材の剥がれ、ひび割れ、陥没などの問題が起こるようになりました。
屋根表面に様々な症状が表れた「セキスイかわらU」
この状態の「かわらU」は、屋根上を歩くとバリバリに割れてしまうため症状を悪化させないため「かわらU」の専門業者以外は屋根に上がらせないようにして下さい、雨漏り原因になります。
症状の違い:アスベスト含有とゼロアスベスト。
有機繊維強化セメント瓦の「かわらU」。
含まれる繊維が石綿(アスベスト)からビニロンに変わったことで、塗膜が剥がれやすくなり年数が経過するほど急速に劣化していきます。
アスベスト含有タイプ(石綿入り)
アスベスト含有タイプの特徴。
アスベスト含有タイプは、年数が経過していても屋根材表面の塗膜が剥がれていなかったり、ひび割れなども少なく綺麗な状態が保たれている物もあります。
役物の痛み。
➊丸棟瓦や➋軒瓦、➌袖瓦などの役物に塗膜の剥がれが見られますが本体瓦はしっかりしています。
丸棟瓦に関係する「笠釘の抜け・瓦屋根の漆喰と同じ役割をするウレタン補助面戸の欠損・笠木の腐食」などはアスベスト入り無しに関わらず修理の必要があります。
33年以上経過しているため屋根材表面にコケが生え、汚れて見栄えが悪くなったりもしますが、屋根を歩いても割れるような事はありません。
ゼロアスベストタイプ(無石綿)
ゼロアスベストタイプの特徴。
ゼロアスベストタイプは、年数が経過すると表面の塗膜が剥がれはじめ白く変色していきます。
表面の塗膜が白くポツポツと剥がれはじめた程度の状態なら塗装しても大丈夫ですが・・・
2番目の写真のように、塗膜の剥がれが広範囲になると塗装不可能になるだけでなく、上を歩くと屋根がバリバリ割れてしまいます。(3番目の写真)
「かわらU」の白化現象・ヒビ割れの原因。
①【白化現象】(無石綿タイプ)
屋根が白く見える原因は、表面の化粧層としての塗膜が剥がれて、中の基材が露出しているからです。
塗膜が剥がれると、降った雨水を含みやすくなるため天気が回復しても乾燥が遅れ表面にコケが生えやすくなります。
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②【ヒビ割れ】(無石綿タイプ)
「かわらU」の表面を良く見てみると、ヒビが入り、塗膜も数センチ単位の塊で剥がれているのが分かると思います。
これは屋根材を補強する役目の有機繊維ビニロンとセメント基材の結合が弱く固く結びついていない事で起こります。
「かわらU」が非常に脆い状態になっているという事です。
塗膜の剥がれがなければ、体重120kgの人間が載っても踏み割れを起こすことはありませんでしたが脆くなった状態では、立ったまま屋根上を歩くとバリバリに割れてしまうため、歩く時は両手も使い四つん這いになって歩くなど体重を分散させなど細心の注意が必要です。
かわらUは塗装か葺き替えか?を決めるポイント
「かわらU」の修理方法ですが、どうすれば良いのか?悩む人も多いことでしょう。
『塗装で大丈夫!』と言う業者さんもいるようですが、
塗装が可能かどうか?は、かわらU表面の状態によって変わります。
例えば上写真のⒶとⒷとでは対処法が異なります。(雨漏りしている場合、塗装不可です)
Ⓐは、塗装が可能です。
本体が重なり合う前側や側面の端部が、しっかりしていて元の形が崩れていません。
これは屋根表面の塗膜が薄く剥がれているだけなので塗装しても大丈夫です。
(塗装OKだった例⇒)実際の施工例へ
対してⒷは、塗装が不可能です。
本体が重なり合う端部の形が崩れています。
これは本体内部の基材が露出し劣化している状態なので、塗装しても直ぐに剥がれてしまいます。
かわらUは、Ⓑのような状態になっている場合が多く、
塗装しても長く持たないので、その場合は葺き替えが必要になりす。
上写真Ⓑの状態を修理・塗装してみた結果。
Ⓑの状態を、コーキング修理・塗装を勧められお客様の実例。
左写真:塗装前の状態。
屋根材表面の塗膜は剥がれていますが、白い矢印の横部分を見て頂くと、かわらUの基材が何層にも剥がれていることが分かるでしょうか?
右写真:塗装後の状態。
左写真と同じ状態のかわらUをコーキング修理し屋根塗装した実例です。
基材が剥がれた部分は右写真のように、コーキングや塗装をしても改善されることは無く、剥がれた基材が大きな塊になって剥がれてしまうだけで修理・塗装をしても無駄でした。
「かわらU」の葺き替え依頼例:「修理も塗装もダメだった。スレートの上にカバー工法した積水瓦を取り替えたい」との依頼例です。
「かわらU」の下にあるスレート屋根と下地の状態を確認したところ、スレートまで戻しての再カバー工法が可能な状態でした。下地が傷んでいなければ再カバー工法できるので無駄な修理や塗装をするよりお得です。
なぜ塗装ではダメなのか?
塗装は、あくまでも剥離した表面の塗膜部分を補うだけのものです。
塗装することで一時的に表面は綺麗になったように見えます。
しかしそれは一時的であり、塗装しても脆くなった基材部分が強化されることはありません。
基材と塗料は、くっつきにくく直ぐ剥がれてしまうため、以後何度も小まめに塗装を繰り返す必要があります。
また、塗装の度に高圧洗浄で古い塗膜を剥がさなくてはならないため、高圧洗浄する度に基材の劣化を進行させてしまいます。
「セキスイのかわらU」は専門家へ。
「かわらU」への葺き替え・カバー工法。劣化した「かわらU]の修理・塗装等を実際に行ってきた積水化学工業直属の屋根診断士だった当サイト管理人が中立の立場でお手伝いします。(一般のお客様限定)
かわらCITY、かわらメタル、その他のセキスイ製品についてのご相談も可能です。
「お客様の声」はコチラ。
かわらUを塗装したお客様、その後の状況は?
1.塗装後8か月 ⇒葺き替え。「数年しか持たないなら・・・」
塗装屋さんから「長く持たない」と言われ気になっていたそうですが、数年しか持たないなら葺き替えた方が良いとご依頼頂いた例です。実際の施工例へ
白く見える部分は塗料をはじいてしまい、きちんと塗れなかった部分です。
(管理人の経験:塗装した時は塗れたように見えても乾くと濡れていない事が分かります。同じ工程を3回ほど繰り返した経験がありますが同じでした)
2.塗装後2年 ⇒葺き替え。「修理を繰り返すのが面倒だから」
■上写真の上段:塗装が大きく剥がれた部分と白点線部の説明。
・棟瓦が浮き上がり中の笠木が見えている。→雨漏り原因。
・棟瓦を固定するゴムパッキン付きの笠釘が抜け欠損した所もある。→棟瓦が強風で飛散する。
これらは塗装後も繰り返し起こるため定期的な修理が必要になり結局葺き替える事になりました。実際の施工例へ
上写真の下段:雨水の侵入を防ぐウレタンの補助面戸が鳥害により飛び出したり無くなっている部分多数。→雨漏り原因。
補助面戸とは、瓦屋根であれば漆喰の役目をする部分であり、欠損してしまうと雨水が入り込むため最大の雨漏り原因になります。
(補助面戸が欠損する理由:棟内部には大きな空間があり、そこにスズメ・ムクドリなどの鳥が巣を作る目的で補助面戸を地道に突いて穴を空けます。その鳥の巣にある卵や雛を食べるため、カラスが補助面戸を引きはがすことが主な欠損理由です。もともと補助面戸の取り付け方が悪く風で飛んでしまう事もあります)
3.塗装後数年 ⇒葺き替え。「塗装の繰り返しで見た目が悪い」
20年前、コロニアルに「かわらU」を載せた。
瓦表面が白くなったので塗装してもらったが直ぐに剥がれてしまい前と同じ状態に。
業者に補修してもらったが、きちんと直らず切が無いし見た目が悪いので葺き替えたいと依頼頂いた例です。実際の施工例へ
かわらU葺き替えで失敗しないために重要な事
「セキスイのかわらU」の葺き替えでは。
「どんな屋根材を選ぶのが最適で、どんな施工法をすれば良いのか?」の判断は、かわらUに精通した業者に判断してもらう必要があります。
「かわらU」から「ガルバリウム鋼板屋根」への葺き替え。 ●「かわらUは聞いていたより長持ちしない屋根だった!」 ガルバリウム鋼板屋根は「かわらU」より短命に終わる可能性が高いです。 その理由は、「かわらU」より「ガルバリウム鋼板屋根」の方が、正しい工事方法を知らず間違った方法で工事している業者の割合が圧倒的に多いからです。 再工事依頼が増えています。 ガルバリウム鋼板を『もう一度葺き替え直したい』という依頼が増えていますが、下地や骨組みまで腐ってしまった場合は多額の費用が掛かります。 |
屋根材には横葺きと縦葺きタイプがあり「かわらU」は横葺きタイプの屋根材です。 業者が横葺きタイプを勧める勘違い。 業者が横葺きタイプを勧めた理由は。 勧められるまま工事してしまうと雨漏りして修理を繰り返す事になります。 2.5寸勾配以下は縦葺きタイプを。 元がトタン屋根だった場合や、ご近所と比べて屋根勾配が緩いと感じる場合は、施工しても問題が起きないか?勾配計で調べてくれる業者なら安心です。 |
ガルバリウム鋼鈑屋根には正しい工事方法があります。↓実際の施工例へ
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「かわらU」葺き替えにつながる重要ポイント
セキスイかわらUの修理方法を実例を元に解説。 この修理例を見れば、今お使いの「かわらU」が修理可能かどうか?分かります。 |
吊子金具について
吊子金具の役割 屋根材本体を止める役目と上段に重ねる屋根材が風で浮き上がるのを防ぐ2つの役割があります。 |
アスベスト(有り)の吊り子金具 ① アスベスト含有タイプでは、かわらU本体が劣化していないので、しっかり固定されています。 |
アスベスト(無し)の吊り子金具 ② ゼロアスベストタイプは、かわらU本体が脆くなり、きちんと固定できなくなっています。 |
写真①の説明。(写真の赤丸で囲った部分)
これは吊子金具と言い、屋根の前側が風で浮き上がるのを防ぐ重要な役目を果たす金具です。
写真②の説明。(写真の赤丸で囲った部分)
この金具のおかげで風速60mの強風にも耐える屋根になっていますが、写真を見ると吊子金具で固定されるはずの屋根本体が脆くなっているため、吊子金具で固定しきれずに強風で屋根の前側が浮き上がり剥がれてしまう可能性があります。
丸棟瓦の内部にある笠木の腐り
丸棟瓦内部の笠木 ③ 丸棟瓦の内部にある笠木が腐ってボロボロになっています。 |
笠木が腐る影響 ④ 笠木が腐った影響で丸棟瓦が強風で飛ばされてしまいました。 |
写真③、④の説明。
丸棟瓦の内部にある笠木が腐ると台風など強風により丸棟瓦が飛散します。
丸棟瓦は重量があるので近隣へ与える被害も大きくなります。
笠木が腐る原因1-パッキンの劣化。
丸棟瓦は、内部にある笠木に笠釘(旧タイプ。その後、棟固定ネジに変更)を使い固定されます。
しかし年数が経過すると釘に取り付けられたパッキンが劣化し、そこから雨が入り込むことで内部の笠木を腐らせてしまいます。
笠木が腐る原因2-鳥害。
瓦であれば漆喰の役目をするウレタンの補助面戸。
漆喰との違いは、裏に雨が入り込んだ場合でも一番低くなった部分から雨を排出する構造になっています。
この補助面戸は上から笠木で押しつけ固定することで、かわらU本体との間にできる隙間を埋める役目をし雨水の侵入を防いでいますが、柔らかいため施工の仕方が悪いと外れて飛んで行ってしまったり、鳥が突いて穴を開けてしまうこともあります。
実際に棟内部に作られた鳥の巣の写真を掲載しましたが、これは特別な例ではなく多くのお宅がこのような鳥害を受けています。
鳥の巣が作られると、その雛を食べようとカラスが突いてさらに穴を拡大させたり、ごっそりはぎ取ってしまうため雨水が侵入して笠木を腐らたり雨漏りの原因になるので補助面戸は定期的な点検が必要です。
かわらUを修理する場合、セキスイで決められた仕様を守る必要がありますが、一般的の屋根屋さんや工務店・塗装屋さんなどは施工方法を知らないため見た目は綺麗になったと思えても、いつ棟が飛ぶか分からない、いつ雨漏りするか分からないといった不安を抱え続けることになってしまうため注意が必要です。
塗装を繰り返したり、棟部分の修理などの維持費を考えると、傷んだ時点で思い切って葺き替えることをお勧めします。
その方がトータルコストは断然安く納まります。
「かわらU」の工事は専門業者へ
本体を固定するために使われていた釘。
吊子金具を固定するため実際に使われていたのは普通の丸釘。メーカーで指定されたリングネイルは使われていませんでした。
引き抜け強度が全く違うため台風で本体が剥がれる可能性がある。
金具を取り付ける位置。
本体を吊子金具で固定するべき位置は1と3番目。
台風対策として2と4の位置では決して固定してはいけない!という決まりが守られていない例。
しかも最上段は全山固定する規定になっていますが、これも守られていません。
かわらUを剥がすと、両例とも下は直接野地板になっていましたので、工事方法を知らないか手抜き工事のどちらかです。(下にある屋根がトタン瓦棒の場合は全山に打つ必要はありません。)
吊り子金具を取り付ける位置が2と4山目になってしまう場合の回避策としては、①のように4山で構成される本体を3山に減らして取り付ける必要があります。
しかし、施工法を知らないから、手間が掛かるから、または使う材料を減らせるからなのか?殆どの業者が決まりを守らず施工しています。
また②・③は、本来は捨ててしまわなければならない本体の端材を有効活用した?例です。
本来は絶対にやってはいけない例ですが、このような例はかわらUに限らず多くの屋根工事で行われています。
もし、お宅の屋根を見て上記したこれらの例が見られたら、以前工事してくれた業者には葺き替え依頼しない事をお勧めします。本物の専門業者へ依頼しましょう。
「かわらU」でお悩みのお客様は、専門ノウハウを持つ屋根無料見積.comへご相談ください。「かわらU」の専門家が電話対応しています。
専門ノウハウを持つ業者さんによる診断も行っています。
ガルバリウム鋼板(金属屋根)への葺き替えをお考えの場合は、業界に1割しかいないと言われる金属屋根の専門技術を持つ職人が対応させて頂きます。
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