スレート屋根の塗装を繰り返すと雨漏りするってホント?
スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)の塗装を繰り返すと雨漏りすると聞いたことはありませんか?
実は、スレート屋根は、塗装を繰り返すことで雨漏りのリスクを高める可能性があります。
スレート屋根の劣化と塗装の関係性
スレート屋根材は、セメントと繊維を混ぜて作られた屋根材です。
そのため、経年とともに紫外線や雨風によって劣化し、表面がもろくなったり、ひび割れが発生したりします。
このような劣化部分を放置すると雨水が浸入しやすくなり、雨漏りに繋がってしまうのです。
そこで、スレート屋根の劣化を防ぐために重要なのが塗装です。
塗装には、屋根材を保護し防水性を高める役割があります。
なぜ塗装を繰り返すと雨漏りするのか?
塗装はスレート屋根の劣化を防ぐのに有効ですが、だからといって何度も繰り返せば良いというものではありません。
スレート屋根塗装による雨漏りの原因として、特に屋根材の重なり部分や雨水を排出する部分を塗料で塞いでしまうことが挙げられます。
これについて説明します。
スレート屋根の構造と排水機能
スレート屋根は、薄い板状の屋根材が重なり合っており、この重なり部分を通じて雨水がスムーズに流れるよう設計されています。
この重なり部分は、雨水の浸入を防ぐと同時に、排水を効率的に行う役割を果たしています。
塗装による問題点
1. 塗料の過剰塗布。
重なり部分に過剰に塗料を塗布すると、塗料が硬化して隙間を塞ぎ排水路を妨げることがあります。
この結果、雨水が正常に排水されず、逆流や滞留が発生し雨漏りの原因になります。
2. 塗料の流れ込み。
塗装作業中に塗料が重なり部分に流れ込むと、塗膜が形成されて排水路が狭くなったり、完全に塞がれたりすることがあります。
こうなると雨水が適切に流れず屋根材の下に浸入するリスクが高まります。
スレート屋根塗装の剥がれの原因とは?
スレート屋根の塗装が剥がれる原因は、大きく分けて経年劣化と施工不良の2つが考えられます。
経年劣化による剥がれ
スレート屋根材は、セメントと繊維を混ぜて作られた素材です。
そのため、長年の紫外線や雨風によって徐々に劣化し、以下のような症状が現れます。
■ ひび割れ。
屋根材の表面に細かなひび割れ(クラック)が発生します。
■ 色あせ。
塗装の色が褪せて、屋根全体が白っぽく見えます。
■ 防水性の低下。
屋根材の防水性が低下し、雨水が浸透しやすくなります。
これらの劣化が進むと、塗装の密着力が弱まり、剥がれやすくなってしまいます。
劣化症状 | 説明 |
---|---|
ひび割れ | 屋根材の表面に細かなひび割れ(クラック)が発生します。 |
色あせ | 塗装の色が褪せて、屋根全体が白っぽく見えます。 |
防水性の低下 | 屋根材の防水性が低下し、雨水が浸透しやすくなります。 |
特に、築10年以上経過したスレート屋根は、経年劣化が進んでいる可能性が高いと言えるでしょう。
施工不良による剥がれ
塗装の際、適切な施工が行われなかった場合にも剥がれが生じることがあります。
主な施工不良としては、以下のようなものが挙げられます。
下地処理不足
塗装を行う前に、屋根材の表面の汚れや古い塗膜をしっかり落とす必要があります。
下地処理が不十分だと、新しい塗料が密着せず、剥がれの原因となります。
■ 高圧洗浄不足。
高圧洗浄で古い塗膜や汚れを十分に落とさずに塗装すると、剥がれの原因になりま
す。
■ 旧塗膜の残置。
古い塗膜が残ったまま塗装すると、新しい塗料と密着せず、剥がれやすくなります。
塗料の選択ミス
スレート屋根に適さない塗料を使用した場合、剥がれや変色の原因になります。
■ 溶剤系塗料の使用。
スレート屋根に溶剤系塗料を使用すると、屋根材が変形したり、ひび割れの原因となることがあります。
■ 低品質な塗料の使用。
耐久性の低い塗料を使用すると、短期間で剥がれや色あせが生じることがあります。
塗装の技術不足
塗装の技術が未熟な場合、以下のようなことが原因で、ムラや剥がれが生じることがあります。
■ 塗布量不足。
塗料の塗布量が不足すると、十分な塗膜が形成されず、剥がれやすくなります。
■ 乾燥時間不足:塗料が完全に乾燥する前に次の工程に移ると、塗膜が剥がれやすくなることがあります。
施工不良による剥がれを防ぐためには、信頼できる施工業者を選ぶことが重要です。
スレート屋根塗装で縁切りは必要?
縁切りとは?
縁切りとは、スレート屋根塗装において、塗料で屋根材の隙間を塞がないように、意図的に隙間を作る作業のことです。
スレート屋根は、複数の板状の屋根材を重ねて葺くことで雨水を防いでいます。
この屋根材同士の重なり部分を縁と呼びますが、ここに塗料が入り込んでしまうと、雨水の排水経路を塞いでしまう可能性があります。
そのため、縁の部分には塗料を塗らずに、隙間を空けた状態にする「縁切り」という作業が必要となるのです。
縁切りは、専用の工具を用いて行われるのが一般的です。
カッターやヘラなどを用いて、塗料を塗りたくない部分に隙間を開けておきます。
しかし、この縁切り作業を行わないと雨漏りのリスクが高まるだけでなく、屋根材の劣化を早めてしまう可能性もあるため注意が必要です。
縁切りをしないとどうなる?
ここでは、縁切りをしないことによって引き起こされる代表的な問題とそのメカニズムについて詳しく解説します。
毛細管現象による雨漏り
毛細管現象とは、細い管状の隙間で液体が重力に逆らって上昇する現象のことです。
塗料で隙間が埋められたスレート屋根では、この毛細管現象によって雨水が吸い上げられ、屋根材の下に浸透してしまうことがあります。
特に、風雨が強い日などは、雨水が横から吹き付けられるため、毛細管現象による雨漏りのリスクが高まります。
縁の剥がれによる雨漏り
縁切りをせずに塗装を行うと、塗料が接着剤の役割を果たし、屋根材同士が密着してしまいます。
しかし、屋根材は温度変化や湿度の変化によって膨張と収縮を繰り返すため、密着した状態だと、その動きに追従できずに塗膜に亀裂が生じることがあります。
この亀裂から雨水が浸入し、雨漏りを引き起こす可能性があります。
また、縁の部分の塗膜が剥がれやすくなり、剥がれた部分から雨水が浸入することも考えられます。
屋根材の劣化促進
縁切りをしないと、屋根材の隙間が塞がれ、湿気がこもりやすくなります。
湿気がこもった状態が続くと、屋根材が水分を含んでしまい、劣化が促進される可能性があります。
スレート屋根材は、セメントと繊維を混ぜて作られていますが、水分を吸収しやすい性質を持っています。
湿気がこもった状態が続くと、コケやカビが発生しやすくなり、美観を損なうだけでなく、屋根材の劣化をさらに加速させる可能性があります。
また、冬場には、屋根材に吸収された水分が凍結し、膨張することで、屋根材にひび割れなどの損傷を与える可能性もあります。
スレート屋根塗装とカバー工法、結局どっちがいいの?
スレート屋根のメンテナンスとして、塗装とカバー工法のどちらが適しているかは、屋根の状態や予算、求める耐久年数などを考え判断する必要があります。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを比較し、最適な選択ができるように解説します。
スレート屋根塗装のメリット・デメリット
屋根塗装は、カバー工法に比べて費用を抑えられることが大きなメリットです。
しかし、屋根の状態によっては塗装できない場合や、期待するほどの耐久性が得られない場合もあるため注意が必要です。
スレート屋根塗装のメリット
■ 費用が安い。
カバー工法と比較して、工事費用を抑えることができます。
■ 工期が短い。
カバー工法に比べて、工事期間が短く済みます。
■ 外観を自由にデザインできる。
様々な色の塗料を選ぶことができるため、好みの色に仕上げることが可能です。
スレート屋根塗装のデメリット
■ 屋根材の劣化が激しい場合は施工できない。
ひび割れや反りなどが進行している場合は、塗装では対応できません。
耐久年数が短い。
カバー工法と比較して、耐久年数が短く、定期的なメンテナンスが必要です。
一般的には7〜10年程度と言われています。
カバー工法のメリット・デメリット
カバー工法は、既存のスレート屋根の上に新しい屋根材を葺くため、スレート屋根が劣化していても施工が可能です。
また、スレート屋根塗装よりも耐久性が高く、メンテナンスの手間も軽減されます。
カバー工法とは?
既存のスレート屋根を撤去せず、その上に新しい屋根材を葺く工法です。
葺き替えに比べて、廃材の発生が少なく工事費用も抑えられますが、スレート屋根の劣化が激しい場合は葺き替えた方が良い場合もあります。
カバー工法のメリット
■ 屋根材が劣化していても施工できる。
既存のスレート屋根の上に新しい屋根材を葺くため、劣化している屋根への施工が可能です。
■ 耐久性が高い。
スレート屋根塗装よりも耐久性が高く、メンテナンスの手間が軽減されます。
金属屋根なら20〜30年程度と言われています。
■ 断熱性・遮音性が向上する。
新しい屋根材を葺くことで、断熱性や遮音性が向上し、快適な住環境を実現できます。
■ 軽量な屋根材を選べば耐震性が向上する。
金属屋根など軽量な屋根材を使用することで、建物の負担を軽減し、耐震性を向上させることができます。
カバー工法のデメリット
■ スレート屋根塗装よりも費用が高い。
新しい屋根材を使用するため、スレート屋根塗装よりも費用がかかります。
■ 屋根の形状によっては施工できない場合がある。
陸屋根など、屋根の形状によってはカバー工法ができない場合があります。
このように、スレート屋根塗装とカバー工法は、それぞれにメリット・デメリットがあります。
どちらが適しているかは、屋根の状態や予算、求める耐久年数などを考慮して判断する必要があります。
スレート屋根のメンテナンス方法については、建物の状態や築年数、予算などを考慮して、最適な方法を選ぶようにしましょう。
専門業者に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。