
4種類の屋根リフォーム方法とは
屋根リフォームには4種類の方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
どの方法でリフォームするかは屋根状態や予算を元に考える必要があります。
1. 屋根葺き替え(張り替え)
葺き替え工法は、既存の屋根材を完全に撤去し、新しい屋根材で全面的に取り替える方法です。
最も根本的な屋根リフォーム方法といえます。
屋根リフォームで葺き替えを選ぶ目的。
お客様が葺き替えを選ぶ目的は、
● 屋根を軽くするため。(地震対策)
● 長持ちさせるため。
● スレート屋根の場合は、カバー工法で地震被害を受けるのが心配だから。
などと言う理由で葺き替えを選ぶお客様が多いです。
またカバー工法して10年、15年後に全て剥がしてやり替えるとなると莫大な費用が掛かる、それなら葺き替えの方がカバー工法と比べて費用が安く済む。→(二重になった屋根を剥がす必要がないから)とも考え選ばれているようです。
葺き替えのメリット
- 屋根を軽くすることで地震対策になる
- 下地から点検・補修が可能
- 耐久性が高く、長期的な安全性が確保できる
- 屋根材の選択肢が広い
葺き替え工法は、築年数が長い家屋や、屋根の劣化が進んでいる場合に特に適しています 。
また、屋根のデザインや材質を大きく変更したい場合にも選択されます。
葺き替えのデメリット
- 工期が長い(通常7〜10日程度)
- 費用が高い
屋根葺き替えは、どんな屋根に変更可能か?
葺き替えは、どんな屋根にも変更可能です。
例えば、
● 瓦屋根の場合。
全ての屋根材が施工可能(瓦・スレート・トタン・ガルバリウム鋼鈑屋根-縦・横タイプ)など。
● スレート屋根は場合。
瓦以外の屋根材(スレート・トタン屋根・ガルバリウム鋼鈑屋根→横葺きタイプは屋根勾配の確認が必要、縦葺きタイプは勾配に関わらず可能です)
● トタン屋根の場合。
屋根勾配に問題なければ横葺きタイプもOK、勾配が緩い場合は縦葺きタイプのみになります
2. 屋根カバー工法(重ね葺き)
屋根リフォームでカバー工法を選ぶ目的。
お客様がカバー工法を選ぶ目的は、
● 費用を出来るだけ安く抑えたいから。
● 工事期間が短いから。
など、費用の安さを優先して考えるお客様がカバー工法を選ばれているようです。
また、この家に長く住まないから長く持たせる必要がない場合等でも選ばれているようです。
下地が傷んで弱くなっていないか?
しかし、カバー工法は下地が傷んでいない場合にしか施工できません。
下地が傷んでいるかどうかを見抜けない業者も多く、中には下地が傷んでいるにも関わらずカバー工法しか勧めない業者もいるため注意が必要です。
屋根勾配も非常に重要です。
またカバー工法の場合、屋根勾配にも注意が必要です。
その理由は、勾配の緩い屋根に施工不可能な屋根材を施工すると雨漏りしてしまうからです。
屋根勾配をきちんと診断してくれる業者に依頼するようにして下さい。
勾配の緩い屋根の場合、縦葺きのガルバリウム鋼板を施工する必要があります。
しかし、縦葺きガルバリウム鋼板を施工できない業者も多くいます、そのため施工不可能な横葺きタイプのガルバリウム鋼板を勧めてきますが決して言われるがまま勧めてはいけません。
雨漏りして再工事が必要になり必ず後悔します。
カバー工法のメリット
- 工期が短い(通常3〜5日程度)
- 費用が比較的安い
- 既存の屋根材を撤去しないため、廃棄物が少ない
- 断熱性能が向上する
カバー工法は、既存の屋根に大きな損傷がなく家屋の構造に問題がない場合に適しています 。
特に、築20年以内の比較的新しい家屋での採用が多いです。
カバー工法のデメリット
- 屋根重量が増加する
- 既存の屋根材の状態を完全に確認できない
- 将来的な葺き替えの際のコストが高くなる
カバー工法を選択する際は、屋根の耐荷重を事前に確認することが重要です。
カバー工法は、どんな屋根に変更可能か?
屋根勾配が規定以下の屋根にカバー工法すると雨漏りの原因になります。
カバー工法は、どんな屋根にも変更できる訳ではありません、不向きな屋根もあります。
● 瓦屋根の場合⇒カバー工法は出来ません。
● スレート屋根の場合⇒屋根勾配に問題がなければ施工可能です。
(スレート系:パミールの場合、カバー工法より葺き替えの方がお勧めです)
(スレート系:セキスかわらUの場合は、カバー工法も可能ですが、お勧めできません)
● トタン屋根の場合⇒カバー工法が可能ですが、トタン屋根の上にベニヤ板を載せて下地を作り横葺きタイプのガルバリウム鋼板を載せる工事は危険です。
3. 部分補修・修理
部分補修は、破損や劣化が限定的な範囲にとどまる場合に、その箇所のみを修理する方法です。
緊急対応や小規模な修理に適しています。
部分補修のメリット
- 費用が最も安い
- 工期が短い(通常1〜2日程度)
- 必要最小限の修理で済む
- 緊急時の応急処置として有効
部分補修は、台風や地震などの災害後の応急処置や、定期点検で発見された小さな損傷の修理に適しています。
ただし、全体的な劣化が進んでいる場合は、根本的な解決にはならないことに注意が必要です。
部分補修のデメリット
- 根本的な解決にならない場合がある
- 見た目の一貫性が損なわれる可能性がある
- 他の部分に問題が隠れている可能性がある
部分補修を選択する際は、住宅リフォーム推進協議会のガイドラインを参考に、適切な判断を行うことが重要です。
工法 | 工期 | 費用 | 適する状況 |
---|---|---|---|
カバー工法 | 3〜5日 | 中 | 既存屋根が比較的健全な場合 |
葺き替え工法 | 7〜10日 | 高 | 屋根の劣化が進んでいる場合 |
部分補修 | 1〜2日 | 低 | 限定的な損傷がある場合 |
屋根リフォームの方法選択は、家屋の状態、予算、将来的な計画などを総合的に考慮して決定することが重要です。
専門家の診断を受け、最適な方法を選ぶことをおすすめします。
4. 屋根塗装
屋根リフォームで屋根塗装を選ぶ目的。
お客様が屋根塗装を選ぶ目的は、
● 屋根が色褪せたり、苔が生え汚くなってきたから。
● 屋根を長く持たせたいと思ったから。
など、屋根の見栄えが悪くなったり、屋根寿命を延ばしたいと考えるお客様から選ばれているようです。
屋根材毎の屋根塗装について。
スレート(カラーベスト)屋根への塗装は、見た目を綺麗にするうえで有効な方法ですが、塗装することで屋根寿命が延びる事はありません。
また屋根材表面の塗膜が剥がれたからといって雨漏りするという事もありません。
トタン屋根や金属屋根の場合。
屋根の表面がサビても屋根塗装すれば屋根寿命を伸ばすことも可能です。
屋根塗装のリスク。
スレート屋根塗装の場合。
スレート屋根は、塗装を繰り返すと雨漏りし易くなるというリスクがあります。
その理由:スレート屋根は横方法の重なり部分は、タスペーサーを使ったり縁切りすることで塗装による密着を防ぐ事ができますが、縦方向の接続部分は密着を防ぐ事が出来ないため塗装を繰り返す事で雨漏りするようになってしまいます。
タスペーサー・縁切りを行わず塗装する業者もいますがが、その場合は1回目の塗装で雨漏りする事もありますが、タスペーサー・縁切りした場合でも2~3回目で雨漏りする事が多いようです。
トタン・金属屋根塗装の場合。
塗装を繰り返すことで徐々に剥がれ易くなってきます。 再塗装しても直ぐ剥がれてしまう場合は費用面や今後の事を考え張り替える事をお勧めします。
●塗装が必要な頃は、修理も必要な時期
上写真の説明。
1:塗装後すぐに棟包みが強風で剥がれ飛んでしまい、棟内部の笠木取り換えが必要になった例。
2:谷廻りのスレート本体が傷んで陥没していたのに塗装した事で雨漏りした例。
3:屋根塗装で雨漏りしたと伝えたら再塗装で直ると言われて屋根骨組みまで腐った例。
屋根塗装が必要だと勧められる頃、実は屋根修理も必要な時期に入っています。
しかし塗装業者は屋根についての知識がないため、適切な修理方法を提案出来なかったり、適切な修理方法が分からないなど塗装後すぐに修理が必要になることが多く注意が必要です。
塗装して良いのか? 塗装以外のリフォーム方法を選択すべきなのか?
塗装することで屋根の寿命が本当に伸びるのか?については、屋根屋さんに一度見てもらうことをお勧めします。
屋根工事も屋根塗装も自社でしているという会社であれば、屋根の状態を見てベストな提案をしてくれる所もありますので、そういった会社に依頼するのも一つの方法です。
屋根リフォームのタイミングと費用相場
屋根リフォームを検討すべき主なタイミングは以下の通りです。
- 築年数が20年以上経過している
- 雨漏りが発生している
- 屋根材の劣化や損傷が目立つ
- 台風や地震など大きな自然災害の後
- エネルギー効率を向上させたい
特に、 築25年以上経過した住宅では、屋根の状態を専門家に点検してもらうことをお勧めします 。
屋根の耐用年数は屋根材によって異なりますが、一般的に20〜30年程度とされています。
屋根の劣化サイン
以下のような症状が見られる場合、屋根リフォームを検討する必要があります。
- 屋根材のひび割れや欠け
- 屋根の変色や退色
- 雨樋の詰まりや破損
- 屋根裏や天井のシミ
- 屋根材のめくれや浮き
リフォーム方法別の費用比較
屋根リフォームの費用は、工法や屋根材、建物の規模などによって大きく異なります。
ここでは屋根リフォームの主な工法である「カバー工法」「葺き替え工法」「部分補修」の費用を比較します。
工法 | 費用目安(30坪の住宅) | 特徴 |
---|---|---|
カバー工法 | 100〜150万円 | 既存の屋根の上に新しい屋根材を被せる工法 |
葺き替え工法 | 150〜250万円 | 既存の屋根を撤去し、新しい屋根材で葺き替える工法 |
部分補修 | 10〜50万円 | 損傷部分のみを修理する工法 |
これらの費用は、屋根の形状や傾斜、使用する屋根材によって変動します。
複雑な形状の屋根や急勾配の屋根では、工事の難易度が上がるため、費用が増加する傾向にあります 。
使用する屋根材別の費用比較
屋根材の選択も、リフォーム費用に大きな影響を与えます。
以下に、代表的な屋根材とその費用相場を示します。
屋根材 | 費用目安(30坪の住宅) | 特徴 |
---|---|---|
瓦 | 150〜300万円 | 耐久性が高く、日本の気候に適している |
金属屋根 | 120〜250万円 | 軽量で耐久性が高く、メンテナンスが容易 |
スレート屋根 | 80〜150万円 | デザイン性が高く、比較的安価 |
国土交通省の調査によると、屋根リフォームの平均費用は約180万円となっているようですが、この金額は地域や建物の状態、工事の規模によって大きく変動する可能性があります。
費用に影響を与える要因
- 屋根の面積と形状
- 既存屋根の状態と撤去の必要性
- 屋根の傾斜角度
- 工事の難易度(アクセスの良さ、足場の必要性など)
- 地域の労務費や材料費の相場
- 付帯工事(雨どい、軒裏、破風板の交換など)の有無
これらの要因を考慮し、複数の業者から見積もりを取ることで、より正確な費用把握が可能になります 。
業者の思惑で屋根のリフォーム方法が変わる?
・塗装しか勧めない業者。
・成約につながり易いからという理由で、費用が安いカバー工法を勧める業者。
・葺き替え技術が無い・アスベストを処理する資格が無いので、カバー工法を勧めてくる業者。
など、
「どんな屋根リフォーム方法が適切か?」ではなく、
自社の思惑で工事方法を勧められては、屋根の悩みは解消されません。
塗装屋さんに声を掛ければ塗装を勧められ、屋根屋さんに声を掛ければ屋根工事を進められるのは至極当然とも言えますが、大きな問題として。
現状では何が一番適切なリフォーム方法なのか?ではなく、
それぞれの業者の思惑で屋根リフォームの方法が決まってしまうことも多いため注意が必要です。
屋根の症状やお客様の考えを元に適切な屋根リフォームの方法を選ぶようにして下さい。
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