
悪質屋根業者による被害の実態
屋根は家を守る上で非常に重要な役割を果たしています。
しかし、その重要性ゆえに悪質な屋根業者による被害が後を絶ちません。
ここでは悪質屋根業者によって引き起こされる具体的な被害の実態について詳しく解説していきます。
訪問販売によるトラブル
悪質業者の多くは、突然の訪問販売で契約を迫ってくるケースが多いです。
「屋根の瓦がずれている」「雨漏りしそう」などと不安を煽り、高額な契約を結ばせてしまうのです。
中には、点検と称して屋根に上り、わざと瓦を壊して不安を煽る悪質な業者もいます。
訪問販売では、冷静に判断する時間もなく悪徳業者に言いくるめられてしまう可能性が高いため注意が必要です。
強引な勧誘
■「近所で工事をしていたら傷んでいるのが見えた、無料なので点検しましょうか」
■「この地域で工事した実績が多いので安心です」
■「今、契約して頂ければ安く工事できますよ」
このような言葉で強引に点検や契約を迫ってくる業者は、悪質である可能性が高いです。
一度契約してしまうと、クーリングオフ期間内であっても、解約に応じないケースも少なくありません。
そのため、訪問販売で屋根の工事契約を結ぶ際は、十分に注意する必要があります。
ずさんな工事と高額請求
悪質業者は、契約後に高額な費用を請求したり、ずさんな工事を行うケースが目立ちます。
当初の見積もりよりも大幅に金額が上乗せされていたり、必要な工事を行わずに費用だけを請求するケースもあります。
また、知識の乏しい消費者に対して必要のない工事や高額なオプションを契約させようとするケースも見られます。
手抜き工事の例
工事箇所 | 手抜き工事の内容 |
---|---|
屋根材 | 粗悪な屋根材を使用する、規定量よりも少ない量しか使用しない |
防水シート | 防水シートを適切に施工しない、または全く施工しない |
下地材 | 下地材が腐食しているにも関わらず、傷んだ下地の上に施工する |
このような手抜き工事をされてしまうと、後々雨漏りなどのトラブルが発生する可能性が高くなります。
また、手抜き工事を指摘しても業者は責任を認めず、追加費用を請求してくるケースも少なくありません。
そのため、屋根工事を行う際は信頼できる業者を選ぶことが重要になります。
保証期間中の対応の悪さ
悪質業者は工事後に問題が発生しても、保証期間内であっても対応が悪質であるケースが多いです。
連絡を無視したり、高額な修理費用を追加請求したりするケースも少なくありません。
また、保証書を発行しなかったり保証期間が極端に短かったりするケースもあります。
保証に関するトラブル
■ 保証期間内にも関わらず、連絡を無視される
■ 明らかに業者の施工ミスであるにも関わらず、有償修理を要求される
■ 保証書の内容が曖昧で、トラブル発生時に適用されない
屋根は、一度工事すると長期間手を入れる事がないため、保証期間中の対応は非常に重要です。
悪質業者に依頼してしまうと、保証期間中であっても適切な対応を受けられず、泣き寝入りしてしまうケースも少なくありません。
そのため、屋根工事を行う際は保証内容やアフターサービスについても事前にしっかりと確認しておく必要があります。
悪質屋根業者による被害は、金銭的な損失だけでなく、精神的な苦痛も伴います。
このような被害に遭わないためには、悪質業者の特徴を理解し事前に対策を講じることが重要です。
国民生活センターへの相談事例
国民生活センターには、屋根の修理やリフォームに関する相談が後を絶ちません。
ここでは、悪質業者による被害の具体例を、国民生活センターの報告をもとに紹介します。
事例1:強引な勧誘と契約
訪問点検を装って不安をあおり、高額な契約を迫られた
「無料で屋根の点検をします」と訪問してきた業者に屋根を見てもらったところ、「瓦がずれている」「雨漏りしそう」などと言われ、その場で契約を迫られた。
契約書にサインする前に、冷静に考える時間が欲しかったが、「今すぐ契約しないと割引が適用されない」などと言われ、契約してしまった。
契約後、他の業者に見積もりを取ったところ、契約金額が相場よりもかなり高額だったことに気づき、解約を申し出たが高額な解約料を請求された。
点検後、強引に工事を進められ、高額な費用を請求された
「屋根の点検をさせてほしい」という電話があり、無料というので来てもらった。
点検後、「瓦がずれているので、このままでは雨漏りする」と言われ、修理を勧められた。
業者の言うことを信じて、その場で工事契約してしまったら工事後、高額な費用を請求された。
あまりにも高額なので、消費者センターに相談したところ悪質な訪問販売業者だったことがわかった。
注意点
訪問販売では、業者の巧みな話術に乗せられ、契約内容をよく理解しないまま契約してしまうケースが多く見られます。
特に、屋根は専門性が高く消費者が不具合を見抜くことが難しい場所なの、悪質業者のターゲットになりやすいと言えます。
契約を急がせる業者は悪質業者の可能性が高いです。
事例2:不明瞭な見積もり
工事内容が不明瞭なまま契約してしまった
屋根の修理を依頼した際、見積書に記載されていた工事内容が「屋根葺き替え一式」など、非常に大雑把なものであった。
具体的な工事内容や使用する材料について、業者に確認しなかったため、後から追加料金を請求された。
追加工事を繰り返され、最終的な費用が見積もりを大幅に上回った
当初の見積もりには含まれていなかった追加工事を、工事中に次々と提案された。
「この工事は必要不可欠だ」などと言われ、断り切れずに追加工事を依頼した結果、最終的な費用が当初の見積もりを大幅に上回ってしまった。
事例3:手抜き工事と追加請求
契約後に追加工事を要求され、最終的に高額な費用を請求された
インターネットで屋根の修理業者を探し、見積もりを依頼したところ、当初の見積もり金額よりも安い費用を提示してきた業者に工事を依頼しました。
しかし、工事開始後、「屋根の下地が腐食しているため交換が必要」など、次々と追加工事を要求されました。
最終的に、当初の見積もり金額の3倍以上の費用を請求されました。
注意点
悪質業者は、契約後に追加工事や部品交換などを持ち出し、当初の見積もり金額よりも高額な費用を請求することがあります。
屋根工事は、実際に工事を始めないとわからない部分もあるため、追加工事を依頼する場合は、その都度、詳細な見積もりを提出してもらい納得した上で契約することが大切です。
事例4:ずさんな工事
工事が完了したと思ったら、雨漏りが発生した
屋根の修理を依頼し、業者が工事を完了したと報告してきた。
しかし、その直後から雨が降るたび雨漏りがするようになった。
業者に連絡したところ、「施工には問題ない」「原因は屋根以外の部分にある」などと言われ対応してもらえなかった。
施工不良が原因で、建物に損傷が発生した
屋根の修理を依頼したところ、業者の施工不良が原因で屋根材が剥がれ落ちたり、雨水が建物内部に侵入したりするなどの損傷が発生した。
業者に損害賠償を求めたが、業者側は責任を認めず、トラブルに発展した。
事例5:保証期間中の無視
保証期間中にも関わらず、連絡が取れなくなった
屋根のリフォーム工事を終えてからわずか1年で雨漏りが発生。
保証期間中だったため、施工業者に連絡したが、電話がつながらず、その後も全く連絡が取れなくなってしまった。
保証書には会社名と住所は記載されていましたが、電話番号は記載されていませんでした。
注意点
悪質業者の場合、保証期間中であっても連絡が取れなくなったり、保証内容を履行しなかったりするケースがあります。
信頼できる業者を選ぶことはもちろんのこと、保証内容が記載された書面を受け取るなどトラブル発生時の対策も必要です。
悪質屋根業者に騙されないための対策
悪質屋根業者による被害を防ぐためには、事前の対策と慎重な行動が重要です。
屋根の工事は高額になりがちなので、トラブルに巻き込まれないようにしっかりと準備しておきましょう。
会社情報を確認する
信頼できる業者かどうかを判断するために、まずは会社情報を確認しましょう。
確認項目 | 詳細 | 注意点 |
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会社名・所在地 |
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実態のない会社の場合、架空の会社名や住所を使用している可能性があります。 登記簿謄本を取得したり、インターネットで住所検索をするなどして実在する会社かどうかを確認しましょう。 |
電話番号 |
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携帯電話のみの連絡先や、連絡が繋がりにくい場合は注意が必要です。 固定電話の番号を所有していることは、一定の信頼性を示す要素となります。 |
ホームページ |
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ホームページの内容が充実しているかどうかは会社の信頼性を判断する上で重要な要素です。 施工事例やお客様の声などが掲載されているか確認しましょう。 |
許可・資格 |
|
屋根工事を行うには、建設業許可が必要です。 また、専門的な知識や技術を持つ証として関連資格の保有も確認しましょう。 |
訪問販売業者との契約は慎重に
訪問販売で屋根の修理やリフォームを勧めてくる業者の中には、悪質な業者も含まれている可能性があります。
訪問販売では、その場で契約を迫られる事もあるかもしれませんが冷静に判断することが大切です。
訪問販売業者との契約で注意すべき点
■ 突然の訪問で契約を急かさない
■ 不安をあおるような発言をしていないか
■ 契約内容をよく理解する前にサインや捺印をしない
■ クーリング・オフ制度について理解しておく
クーリング・オフ制度の活用
訪問販売で契約した場合、クーリング・オフ制度を利用することができます。
契約書を受け取った日から8日以内であれば無条件で契約を解除できます。
クーリング・オフ期間を過ぎても、契約内容に誤りがあった場合などは一定期間内であれば契約解除できる場合があります。
不安を感じたら、すぐに消費生活センターに相談しましょう。
契約内容をしっかり確認する
屋根の工事契約を結ぶ際には、契約内容をしっかり確認することが重要です。
契約書には、工事内容・工事期間・支払い方法・保証内容などが記載されています。
契約書を確認するポイント
■ 工事内容が詳細に記載されているか?
■ 使用する材料の品質やメーカーが明記されているか?
■ 工事期間が明確に定められているか?
■ 支払い方法や金額が明確になっているか?
■ 保証内容が明記されているか?
契約書の内容に不明点や疑問点があれば、必ず業者に確認し納得してから契約を結ぶようにしましょう。
複数の業者から見積もりを取る
屋根の工事をする際には、複数の業者から見積もりを取ることも重要です。
複数の業者に見積もりを依頼することで工事内容や価格を比較することができます。
相見積もりを取るメリット
■ 適正な価格で工事を依頼できる可能性が高まる
■ 悪質な業者を排除できる可能性が高まる
■ 複数の業者から提案を受けることで、より良い工事内容を検討できる
相見積もりを取る際には、同じ条件で見積もりを依頼することが大切です。
工事内容や使用する材料などを明確に伝え、業者間で比較しやすいようにしましょう。
国民生活センターに相談する
悪質業者による被害に遭ってしまった場合は、一人で悩まずに国民生活センターに相談してみましょう。
国民生活センターでは、消費者からの相談を受け付け問題解決のためのアドバイスや情報提供を行ってくれます。
悪質な業者に関する情報や、トラブルに巻き込まれた際の対処法などについても相談できます。
国民生活センターの相談窓口
●電話番号:188(消費者ホットライン)
●インターネット相談:「国民生活センター」のホームページから 。
消費者ホットラインでは、屋根以外の消費生活に関する様々な相談も受け付けています。(土日祝日は、都道府県等の消費生活センター等が開所していない場合、国民生活センターに電話がつながります)
悪質業者による屋根被害だけでなく、製品の故障やサービスに関するトラブルなど、困ったことがあれば気軽に相談してみましょう。