毎年襲来する台風。
強風や豪雨による被害は、住宅の中でも特に屋根に集中します。
屋根の被害は、雨漏りや建物の劣化に繋がり、住まいの安全を脅かすだけでなく高額な修繕費用が発生することも。
このページでは、台風の脅威から大切な住まいを守るために屋根の被害状況やその対策、台風前後のチェックポイントを分かりやすく解説します。
適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑え安心して台風シーズンを過ごせるようにしましょう。
1. 台風による屋根被害の現状
近年、地球温暖化の影響で大型台風が頻発するようになり、それに伴い、住宅への被害も増加傾向にあります。
中でも、屋根は台風による被害を受けやすい箇所の一つです。
強風や豪雨に直接さらされる上、住宅の最も高い位置にあるため、被害が大きくなりやすいのです。
専門機関の調査によると、台風による住宅被害のうち最も多いのが屋根被害で、全体の約6割を占めています。
これは、外壁被害や窓ガラス被害などを大きく上回る数字です。
1.1 屋根被害による経済的損失
屋根被害は、修理費用が高額になりがちです。
被害状況によっては、屋根全体の葺き替えが必要になることもあり、数十万円から数百万円の費用がかかるケースも珍しくありません。
また、屋根被害に伴い雨漏りが発生すると、家財の損傷やカビの発生など二次被害のリスクも高まります。
さらに、修理が完了するまでの間、仮住まいが必要になることもあり経済的負担はさらに大きくなります。
1.2 屋根被害の実例
被害の種類 | 内容 | 被害状況 |
---|---|---|
屋根材の飛散 | 強風により、スレートや瓦などの屋根材が剥がれ落ちたり、破損したりする。 | 部分的な被害から、屋根全体にわたる被害まで様々。 |
棟板金の剥がれ | 屋根の頂上部分に取り付けられている棟板金が強風で剥がされる。 | 棟板金が飛散することで、雨漏りの原因となる。 |
雨漏り | 屋根材の隙間や破損、雨樋の詰まりなどにより、雨水が室内に侵入する。 | 天井や壁にシミができる、カビが発生するなどの被害が出る。 |
1.3 台風による屋根被害を防ぐために
台風による屋根被害は、事前の対策を講じることで最小限に抑えることができます。
屋根の状態を定期的に点検し、劣化している場合は早めに修理を行うことが重要です。
また、台風接近時には飛散防止ネットの設置や、屋根材の固定など早めの対策を心がけましょう。
2. 屋根が台風によって受ける被害
台風は強風や豪雨をもたらし、私たちの生活に甚大な被害をもたらすことがあります。
特に、住宅においては屋根が最も被害を受けやすい部分と言えるでしょう。
ここでは、台風によって屋根がどのような被害を受けるのか具体的に見ていきましょう。
2.1 強風による被害
台風による強風は、想像以上の力を持ち、屋根に様々な被害をもたらします。
代表的な被害としては、以下の様なものがあります。
2.1.1 屋根材の飛散・破損
強風によって屋根材が剥がされ、飛散してしまうことがあります。
特に、築年数が経過した住宅や、台風対策が不十分な住宅においては注意が必要です。
屋根材の種類によっても被害状況は異なり、スレート屋根や瓦屋根は強風に弱く、飛散や破損のリスクが高いと言われています。
一方、ガルバリウム鋼板などの金属屋根は比較的強風に強いですが、固定が不十分な場合は、やはり飛散の可能性があります。
また、飛散した屋根材が周囲に被害を与える二次被害も懸念されます。
飛散した屋根材が人に当たって怪我を負わせてしまったり、車や家屋に損傷を与えてしまうケースも少なくありません。
2.1.2 棟板金の剥がれ
棟板金とは、屋根の頂上部分に取り付けられている板金のことです。
強風によってこの棟板金が剥がれ落ちてしまうことがあります。
棟板金は屋根材を固定する役割も担っているため、剥がれてしまうと雨漏りの原因になる可能性があります。
また、棟板金自体が落下し、人に当たったり物を壊したりする危険性も孕んでいます。
2.2 雨漏りによる被害
台風による雨漏りは、屋根材の破損や劣化、雨樋の詰まりなどが原因で発生します。
雨漏りは、住宅の構造や内装に深刻なダメージを与える可能性があります。
2.2.1 屋根材の隙間や破損からの雨漏り
強風によって屋根材が割れたり、ずれたりすることで隙間が生じ、そこから雨水が侵入してしまうことがあります。
また、築年数が経過した住宅では、屋根材自体が劣化し、ヒビ割れや破損が生じているケースも少なくありません。
このような劣化部分から雨水が侵入し、雨漏りを引き起こすことがあります。
屋根材の隙間や破損からの雨漏りは、天井にシミを作ったり、壁紙を剥がしたりするだけでなく、建物の構造材を腐食させるなど建物の寿命を縮める原因にもなります。
2.2.2 雨樋の詰まりや破損による雨漏り
雨樋は、屋根に降った雨水を適切に排水する役割を担っています。
しかし、強風によって落ち葉やゴミが詰まったり、破損したりすることで、雨水が適切に排水されず雨漏りが発生することがあります。
雨樋の詰まりや破損を放置すると、雨水が住宅の壁に染み込み、外壁の劣化やカビの発生に繋がる可能性があります。
また、雨水が基礎部分にまで達すると地盤沈下を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
上記以外にも、台風による屋根への被害は多岐にわたります。
日頃から台風への備えをしておくことが重要です。
屋根の点検や補修は専門業者に依頼することをおすすめします。
屋根の状況を把握し、適切な対策を講じることで台風による被害を最小限に抑えることができます。
屋根カバー工法、台風・強風トラブルと再カバー工法工事の問題点について詳しくはコチラ。 |
3. 台風前の屋根チェックポイント
台風シーズン前に、屋根の状態をしっかりと確認しておくことは被害を最小限に抑えるために非常に重要です。
屋根のチェックポイントは多岐に渡りますが、特に重要な項目は以下の通りです。
3.1 屋根材の状態確認
3.1.1 屋根材の種類と特徴
屋根材には、スレート、瓦、ガルバリウム鋼板など様々な種類があります。
それぞれの材質によって耐用年数や劣化の兆候が異なるため、事前に確認しておきましょう。
例えば、スレートは築後10年を超えると苔やカビが発生しやすくなり、割れやすくなるため注意が必要です。
屋根材の種類 | 特徴 | 耐用年数の目安 | 劣化の兆候 |
---|---|---|---|
スレート | 安価で施工しやすい | 10~20年 | 割れ、反り、色褪せ、苔やカビの発生 |
瓦 | 耐久性が高く、耐火性にも優れている | 30~50年 | 割れ、ズレ、漆喰の剥がれ |
ガルバリウム鋼板 | 軽量で耐震性に優れている、デザイン性が高い | 20~30年 | サビ、色褪せ、コーティングの剥がれ |
3.1.2 劣化のサインを見つける
色褪せ、変色:屋根材の色が全体的に薄くなったり、部分的に変色している場合は、劣化が進んでいる可能性があります。
割れ、欠け:スレートや瓦に割れや欠けがある場合は、そこから雨水が侵入し雨漏りの原因となる可能性があります。
苔やカビの発生:屋根材に苔やカビが発生している場合は、屋根材の劣化だけでなく屋根の防水性能も低下している可能性があります。
棟板金の浮きや剥がれ:棟板金が浮いたり剥がれている場合は、強風で飛ばされる危険性があります。
3.2 棟板金の固定確認
棟板金は屋根の頂上部分に取り付けられる板金で、強風から屋根を守る役割を担っています。
台風による強風で最も被害を受けやすい箇所の一つと言えるでしょう。
築年数が経過している住宅では、釘の浮きや腐食によって固定力が弱まっているケースも少なくありません。
念入りにチェックを行いましょう。
3.2.1 チェックポイント
- 釘の浮きや抜けがないか?
- シーリング材の劣化(ひび割れ、剥がれ)がないか?
- 棟板金自体に歪みや腐食がないか?
3.3 雨樋の点検
雨樋は、屋根に降った雨水を効率的に排水する役割を担っています。
台風時に雨樋が詰まっていると雨水が溢れ出し、外壁の劣化や雨漏りの原因になる可能性があります。
また、強風で破損する可能性もあるため、事前の点検が重要です。
3.3.1 チェックポイント
- 落ち葉や泥などの詰まりがないか?
- 雨樋の継ぎ目部分に隙間やズレがないか?
- 雨樋の勾配が適切で、水がスムーズに流れるか?
- 外壁との接続部分に緩みや破損がないか?
3.4 周囲の環境確認
屋根の状態だけでなく、周囲の環境も合わせて確認することで、台風による被害リスクをより正確に把握できます。
3.4.1 チェックポイント
周辺に高い建物や樹木はないか?:高い建物や樹木は、強風時に屋根に倒れてくる危険性があります。特に、枯れ木や弱っている樹木は倒れやすいので注意が必要です。
電線との距離は十分か?:電線が近い場合は、強風で切れて屋根に接触し、火災が発生する危険性があります。
過去の台風被害の情報を確認する:お住まいの地域で、過去にどのような台風被害が発生しているかを確認しておきましょう。
過去の被害状況を把握することで、より的確な対策を講じることができます。
市町村のホームページやハザードマップなどを参考にすると良いでしょう。
4. 今すぐできる!台風対策
台風接近前にできる限りの対策をしておくことが、被害を最小限に抑えるために重要です。
ここでは、今すぐできる台風対策について具体的に解説していきます。
4.1 屋根材の固定
強風で屋根材が剥がされないよう、しっかりと固定されているか確認しましょう。
築年数が経過している場合や、前回の台風で被害を受けている場合は特に注意が必要です。
4.1.1 既存の固定方法の確認
スレート屋根:釘やビスが緩んでいないか、錆びていないか確認します。
瓦屋根:瓦がズレたり、漆喰が剥がれたりしていないか確認します。
4.1.2 応急処置の方法
スレート屋根:緩んでいる場合は、釘やビスを打ち直します。
錆がひどい場合は、交換も検討しましょう。
自分で作業するのが難しい場合は、専門業者に依頼しましょう。
瓦屋根:ズレている場合は、ハンマーで軽く叩いて直します。
漆喰が剥がれている場合は市販の補修材で補修しましょう。
ただし、高所での作業は危険なので、無理せず専門業者に依頼しましょう。
4.2 棟板金の補強
棟板金は強風を受けやすく、剥がれやすい部分です。しっかりと固定されているか確認し、必要であれば補強を行いましょう。
4.2.1 固定状態の確認
釘やビスが浮いていないか、錆びていないか確認します。
シーリング材が劣化していないか確認します。
4.2.2 応急処置の方法
浮いている釘やビスは打ち直し、錆びている場合は交換します。
劣化しているシーリング材は、新しく充填し直します。
強風で飛ばされないように、テープやネットなどで固定する方法もあります。ただし、この方法はあくまで一時的な対策であることを理解しておきましょう。
4.3 雨樋の清掃
雨樋が詰まっていると、雨水が溢れ出し、雨漏りの原因になります。
台風前に必ず清掃しておきましょう。
4.3.1 清掃方法
落ち葉やゴミを取り除きます。(高所での作業になるので、安全に注意して行いましょう)
ホースや高圧洗浄機を使って泥や砂を洗い流します。
破損している箇所がないか確認します。
4.3.2 破損箇所の補修
軽微な破損であれば、市販の補修テープやパテで補修できます。
大きな破損や、自分で補修するのが難しい場合は専門業者に依頼しましょう。
4.4 飛散防止対策
強風によって、植木鉢や物干し竿などが飛散し、窓ガラスが割れたり、人に怪我をさせたりする危険があります。
飛散防止対策も忘れずに行いましょう。
対策対象 | 具体的な対策 |
---|---|
植木鉢 |
|
物干し竿 |
|
自転車 |
|
ベランダの物置 |
|
5. 台風通過後の屋根点検の重要性
5.1 二次被害を防ぐために
台風通過後は、一見被害がないように見えても、屋根に損傷を受けている可能性があります。
強風や飛来物によって屋根材がずれたり、ヒビが入ったりしている場合、放置すると雨漏りを引き起こし家全体の損傷に繋がる可能性があります。
また、屋根の損傷を放置することで、雨水だけでなく湿気や害虫の侵入経路になることも考えられます。
早めの点検と補修を行うことで二次被害の拡大を防ぐことが重要です。
5.2 火災保険の活用
台風による屋根被害は、火災保険の風災補償が適用される場合があります。
保険会社によって補償内容や申請方法が異なるため、事前に確認しておきましょう。
火災保険を活用するためには、被害状況の確認が必要です。
そのためにも、台風通過後には速やかに屋根の点検を行い、被害状況を写真や動画で記録しておくことが重要です。
5.2.1 火災保険の申請に必要なもの
火災保険の申請には、一般的に以下のものが必要となります。
- 保険証券
- 被害状況の写真や動画
- 修理の見積書
- 印鑑
保険会社によっては、その他書類の提出を求められる場合もあるため事前に確認しておきましょう。
5.2.2 保険申請のポイント
- 被害状況を詳しく伝える:被害状況を写真や動画で記録し、保険会社に正確に伝えましょう。
被害状況が明確になる説明を加えることで、スムーズな保険金請求ができます。 - 修理は保険会社に相談してから:自己判断で修理を行うと、保険金が支払われない場合があります。
修理を行う前に必ず保険会社に相談しましょう。 - 専門業者による調査を依頼:屋根の被害状況によっては、専門業者による調査が必要となる場合があります。
保険会社に相談し、必要に応じて専門業者による調査を依頼しましょう。
5.3 屋根点検の注意点
5.3.1 自分で点検する際の注意点
台風通過後の屋根点検は危険を伴うため、無理のない範囲で行いましょう。
高所作業になるため、転落や落下物には十分注意が必要です。
- 足場やハシゴをしっかり固定する
- 滑りやすい服装や靴を避ける
- 強風時は作業を控える
- 不安な場合は無理せず専門業者に依頼する
5.3.2 専門業者に依頼するメリット
- 安全性の確保:専門業者は、安全対策を徹底した上で点検や修理を行います。
- 的確な診断:専門知識と経験に基づき、屋根の損傷状況を的確に診断します。
自分では見つけにくい小さな損傷も見逃しません。 - 適切な補修:診断結果に基づき、最適な補修方法を提案し、施工を行います。
- 保険申請のサポート:保険申請に必要な書類作成や手続きをサポートしてくれる業者もあります。
6. まとめ
台風シーズンは、屋根にとって特に注意が必要な時期です。
強風や豪雨による被害は、屋根材の破損や雨漏りだけでなく、家の構造にも影響を及ぼす可能性があります。
事前の対策をしっかり行うことで、被害を最小限に抑えることが可能です。
屋根の状態をチェックし、必要に応じて補修や固定を行うとともに、飛散防止対策も忘れずに行いましょう。
台風通過後も、速やかに点検を行い、被害状況を確認することが大切です。
安全な住まいを守るために、日頃からの備えを心がけましょう。
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