屋根カバー工法で失敗・後悔する理由

屋根カバー工法で失敗・後悔する理由

屋根カバー工法は、既存の屋根の上に新たな屋根材を重ね塗装・重ね葺きする工法です。
この工事方法は、屋根葺き替え工法に比べて工期の短縮や工事費用の削減できすが、施工ミスや下地の状態によっては、後々の雨漏りや耐久性に影響を及ぼす可能性もあります。

雨漏り発生率の違い

屋根葺き替え工法は、既存の屋根材を完全に撤去し、新たな下地から施工するため、今の屋根で起きている不具合を完全に解消できます。
これにより、 雨漏りリスクの低減が図られ、長期にわたる安心感を得られます。
一方、カバー工法は既存の屋根材の上に新しい屋根材を施工するため、隠れた劣化部分や施工不良が残存するリスクを伴います。

屋根カバー工法後の雨漏りリスク
実際の施工実績や調査データから、特に東京都神奈川県など都市部においては屋根葺き替え工法による雨漏り発生率が1~2%と低いのに対し、屋根カバー工法の場合、 初期不良による発生率は 3~5% にのぼるケースが見受けられます。

また、雨漏りが発生した場合の修繕コストや再施工の必要性を考えると、雨漏り防止が最優先の家庭では、屋根葺き替え工法を選択するメリットが大きいと言えます。

工法 平均雨漏り発生率 耐久性 メリット・リスク
屋根葺き替え工法 1~2% 長期耐久性 初期費用は高いが、雨漏りリスクが少なく、安心して長く使用可能
屋根カバー工法 3~5% 既存状態に依存するため耐久性が低下しやすい 施工期間が短く、初期費用が抑えられるが、長期的には修繕リスクが高まる

台風・強風がカバー工法に与える影響

日本は台風が多いため、カバー工法した屋根が強風によって剥がれ、雨漏りするという新たな問題も発生します。
カバー工法したら台風で屋根が剥がれた

屋根が剥がれた原因

カバー工法した屋根が強風で剥がれる主な理由は。
・屋根材の固定不良。(釘やビスの打ち込み不足)
・屋根材自体の強度不足。
・経年劣化による接着力の低下。
・設計上の問題。(軒先や棟など、風の影響を受けやすい箇所の対策不足)
屋根材が剥がれると、大規模な雨漏りにつながる可能性が高くなります。

下地野地板が傷んだ屋根にカバー工法

カバー工法は既存の屋根下地を再利用するため、下地の状態が雨漏りに大きく影響します。
下地野地板が傷んでカバー工法できなかった

既存屋根の劣化

既存屋根の劣化状態が進行している場合、下記の問題が発生する可能性があります。
・下地の腐食や損傷による強度不足。
・既存屋根で起きていた雨漏り箇所の見落とし。
・既存の通気口や換気装置の機能低下。
これらの問題を適切に処理せずにカバー工法してしまうと、新しい屋根材の下で雨漏りが進行する可能性があります。

低勾配の屋根にカバー工法した影響

屋根勾配は、雨漏りの発生と密接に関係しています。

低勾配屋根にカバー工法したら雨漏りした
屋根勾配が緩やかであるほど、雨水が屋根材に滞留する時間は長くなります。
これにより、屋根材の劣化が促進されるだけでなく雨漏りリスクがも高まります。
また屋根勾配が緩やかな屋根は、強風時に雨水が毛細管現象により屋根材の下に入り込み易くなります。これは、表面張力によって水が狭い隙間を上昇する現象です。

カバー工法で雨漏りする技術的要因

施工不良

カバー工法の施工不良で雨漏り
カバー工法は、既存の屋根の上から新たな屋根材を重ねる施工方法のため、施工不良があると雨水が下地まで入り込み、雨漏りにつながるリスクが高まります。
特に梅雨や台風シーズンには多くの被害が報告されています。
施工不良を防ぐには、施工業者の技術力と実績を十分に確認することが重要です。

部材役物の省略

部材役物を使わず省略されていた屋根工事の実例
必要な部材役物を使うことなく省略されてしまうと確実に雨漏りします。
コスト削減や工期の短縮を目的に、職人や業者が必要な部材の取り付けを省略するケースも多く、工事後の雨漏りに悩まされる原因になっています。

部材役物を加工する技術不足

技術不足で部材役物が取り付けられていなかったガルバリウム屋根
部材役物の適切な加工は、カバー工法後に雨漏りするかどうかが決まる重要な工程です。
技術不足により、きちんとした加工が行われていないと、これも工事後に雨漏りする原因になります。

具体的には、現場の状況に合わせて微調整が必要な雨仕舞工事で、十分な技術を持たない業者による施工は部材役物の切断や曲げ加工が不正確なため雨水が侵入しやすい隙間が出来てしまいトラブルの原因になります。

こうしたトラブルを防ぐためには、技術力が高くメーカーの施工仕様を守って工事している業者を選ぶことが長期的な雨漏り防止につながります。

屋根カバー工法で失敗・後悔しないため

カバー工法したお客様が後悔した背景

施工後にお客様から寄せられる後悔の声は、主に施工品質の低さ工事トラブルが起きた後の対応方法に対する問題が多いです。
実際に雨漏りなどのトラブルが発生しても工事した業者が問題を解決できず、修繕費用の増大や断続的な点検の必要性がお客様に大きな負担を強いる結果となっています。

情報不足による選定ミス

また、お客様が工事業者と契約する前に十分な情報収集を行わなかったことも、後悔の原因となっています。
工事方法の違いや施工業者の選定基準、さらには使用される材料の品質に関する知識が不足していると、工事後に予期せぬトラブルが発生した際に適切な対応が取れず、結果的に大きな損失となります。
広く情報を収集し、実際に行っている工事内容を施工写真で確認するなど慎重な判断が求められます。

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この記事を書いた人

市川 清信
市川 清信屋根無料見積.com運営責任者
1991年から屋根材メーカー(積水化学工業)直属の屋根診断士として活動。
屋根工事・見積り経験35年・5,000件以上、実体験を元に、お客様の役に立つ情報を発信しています。
また、専門資格や専門技術を持つ屋根職人が減った影響で起きている「低品質な屋根工事による被害」を減らすことを目的に日本屋根業者サポート協会に加盟する屋根職人とお客様との橋渡しをする活動を行っています。