目次
● パミールで起こる2つの大きな問題点
● ズレて「落下」-釘の腐食問題
● 剥離・剥がれ-屋根材の劣化問題
● 葺き替えか? カバー工法か?
● 屋根葺き替え ●屋根カバー工法
● パミール屋根の工事例(葺き替え・カバー工法)
● まとめ
ニチハ-パミール屋根で起こる2つの症状。
1996年~2008年まで販売されていた、ニチハのパミール屋根(パミールA・パミールS・パミールM)で主に起きている問題として、
● 屋根材のズレ・抜け落ちによる落下。
● 屋根材の剥離や剥がれ。
という2つの症状が見られます。
1:パミールがズレて落下する。---原因は釘の腐食。
1-1:早急に対応すべき屋根材のズレ落ち。
早急に解決しなければならない屋根材のズレ。
右写真1枚目は
「屋根材が抜け落ちてきて道路に落ちると危ないから」と葺き替え依頼のあった例です。
屋根傾斜面の延長線上に道路がある場合、屋根材がズレて落下する可能性があります。
落下してしまうと、下を通る人や車に危害を及ぼす危険もあるため早急に対処する必要があります。
右写真2枚目は、
実際に剥がれ飛んでしまった例です。
南側の屋根はズレて落ちそうになっていましたが、数日後の台風で剥がれ飛び自宅カーポートが破損。
道路に面した側の屋根にズレはありませんでしたが、広範囲に剥がれ飛んでしまいました。
今回、屋根が剥がれ飛んだ原因は↓これです。
1-2:パミールの落下(滑落する)原因。

屋根材「パミール」は、1990年に石綿含有タイプとして生産開始。
1996年に無石綿化されましたが、その際に無償配布(配布期間:1997~2007 年)された屋根材を固定するパミール用釘の一部に問題があり屋根材のズレや抜け落ちの原因になっています。
写真をご覧頂くと分かりますが、釘がサビてボロボロになっています。
これは、耐食性表面処理(ラスパート処理)のメッキ層の厚みが薄く、正常にメッキ処理された釘と比べ腐食の進行が早いために起きています。
- 無償配布された「パミール用釘」について。ニチハホームページに記載された内容を引用。
- この度、当社では屋根材「パミール」販売時に無償配布した「パミール用釘」(品番:JQ20)の一部に耐食性表面処理(ラスパート処理)のメッキ厚の薄いものが混入していたことが判明しました。
耐食性表面処理(ラスパート処理)のメッキ厚が薄い場合、正常にメッキ処理がなされた釘と比べ、経年に伴う腐食の進行が早まる可能性があり、屋根材のズレ・落下などが生じる可能性があります。
現在のところ人的被害の報告はありませんが、当社では、関係する省庁に概要を報告するとともに、安全処置が必要なものについては無償での処置を随時進めてまいります。

2:パミールの剥離・剥がれ。---原因は無石綿化した事。
2-1:屋根材の剥離・剥がれ症状。
スレート屋根で多く使われている【クボタ(現KMEW)】のカラーベストコロニアルは、2001年まで石綿(アスベスト)が使われていました。
【ニチハ】のパミールは、「家を守り彩る屋根は同時に街の美しい景観を描き、素晴らしい人間環境をつくる」というコンセプトを元に。
「人に環境にやさしい完全無石綿をかかげ、優れた耐震性を約束する軽量化を実現。」とあるように、環境問題を考え1996年12月6日(平成8年) にいち早く無石綿化されましたが・・・・

しかし、無石綿化(ノンアスベスト)したことで→右写真のように層状剥離が起こり屋根材本体がボロボロに剥がれるという問題が発生するようになってしまったのです。
パミールと似た剥離・剥がれの問題は、1991年に完全無石綿されたセキスイかわらUでも起きています。
石綿(アスベスト)に関する法規制について:2004年に石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止、2006年には同基準が0.1%以上へと改定されています。これに伴い各メーカーで製造されていた屋根材は完全無石綿化されています。
2-2:剥離・剥がれの原因。
石綿による肺がんや中皮腫を発症する発がん性の問題を考え、パミールを完全無石綿したことが屋根材の剥離、剥がれの原因になっています。

通常のスレート屋根であれば、10年程度経過した時に見栄えを良くするため塗装することもあるかもしれません。
しかし、パミールの場合は右写真のように屋根材が層状に剥離しているため補修や塗装をしても直ぐに剥がれてしまいます。
また、塗装する前にコケやカビ、汚れなどを除去するため高圧洗浄しますが、高圧洗浄をかけると脆くなった症状をさらに悪化させてしまいます。
2-3:パミール屋根の保証問題。
パミールは屋根材のズレや落下、剥がれなどの問題が発生していますが、個人への保証は行われておらず対象は施工店のみになります。
お客様自身でメーカーに問い合わせても、直接の売買契約がないため補償されません。
通常の経年劣化であると言われ、実際に保証してもらえることはないようです。
ここに記載した症状が見られる場合は早急に葺き替えることをお勧め致します。
パミール屋根のリフォーム方法は2種類。

スレート屋根のリフォーム方法としては、カバー工法も多く行われていますが、パミールの場合はお勧めできません。
その理由は、パミールは右写真のように結露が起こり易い屋根材だからです。
写真を見ると、屋根材裏面に入り込んだ雨が流れているようにも見えますし、防水シート表面にも無数の水滴が付いているのが分かると思いますが、これら全ては結露により起きています。
リフォーム方法を左右する「結露」
実は、先に書いたパミールで起こる劣化症状は全て、この結露が原因で起きています。

上の写真では、固定釘の頭はサビが発生した程度でした。
しかし右写真のお宅には、腐って釘頭と胴部がバラバラになった釘が何か所もありました。
カバー工法は、古い屋根材の上に新しい屋根を被せる工事方法ですが、パミールの場合は古い屋根材を残したまま工事してしまうと問題が起こります。
カバー工法で下に残ったパミール本体は、結露で絶えず濡れ続けるため固定釘の腐蝕、パミール本体の劣化は進行し続ける状態にあるということです。
さらに結露による影響は、新しい屋根を固定するために打たれた釘やネジまで腐らせてしまう可能性もあります。
パミール本体の劣化が激しいと、カバー工法する屋根材を固定するために釘やネジを打ち込むことで、パミール本体は割れてバラバラになってしまいます。
古い屋根材を残すことで得られるはずの断熱性や防音性なども、バラバラになったパミールでは期待できないため、屋根が重くなるだけで何のメリットもありません。
これらの理由から、パミールのリフォーム方法は、葺き替えが適切です。
パミール屋根のリフォーム方法。⇒屋根葺き替え
通常、屋根の葺き替えは手順として。
古い屋根を剥がす→野地板(下地)を増し張り(重ね張り)→防水シート(ルーフィング)→新しい屋根材を施工。という工程で進みます。
しかしパミールの場合は、年数がそれほど経っておらず野地板があまり傷んでいない事もあります。
その場合は、通常の葺き替えで必要な野地板の重ね張りが不要になり、そのぶん費用を抑えた葺き替えが可能な場合もあります(ガルバリウム鋼板で葺き替える場合)。
上記の写真も、野地板の増し張りが不要だった実例です。
- スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)に葺き替えたい場合の注意事項。
- パミールと同じスレート屋根(カラーベスト・コロニアル)にしたい場合は、通常の葺き替えと同じように野地板の増し張りが必要になります。
その理由:既存屋根下地は、新築時に比べ経年劣化で、たわみが大きくなるため、屋根材の口空きやあばれ・踏み割れが発生する原因になります。
パミールの葺き替え方法。

パミール屋根のリフォーム方法。⇒屋根カバー工法
「結露の問題」に記載しましたが、パミール屋根へのカバー工法はあまりお勧めではありません。
お客様からお問合せ頂いた場合には、カバー工法する場合のリスクをお話した上で、あと何年くらい持たせたいのか? 予算を抑えたいとお考えなのか? など、お客様のご意向を優先してお考え頂くようお話しています。
ただし、カバー工法の場合は最低限守るべき事として、新しい屋根材を固定する釘やネジで腐食するものが使用されてしまっては何の意味もありませんので腐食しない物を使う必要があります。
上記の写真は、カバー工法での実例です。
ガルバリウム以外での屋根カバー工法について。
カラーベスト・コロニアル(スレート屋根)でのカバー工法?
カラーベスト・コロニアルへの変更をお考えの場合、工事方法は葺き替えのみになります。
パミールの上にコンパネ(構造用合板)を重ね張りしてから、新しい屋根材を載せるカバー工法での施工は出来ません。
その理由として、やはり結露の問題がありますが、コンパネを固定するために鉄くぎが使われてしまうと、それが腐食して屋根が剥がれる原因になるからです。
そもそもこの工事法自体がメーカーで禁止されていますので業者に勧められても断るようにして下さい。
- 葺き替え時の禁止事項。(ケイミュー:カラーベスト・コロニアル)
-
既存屋根材の上に新しい野地板を直接重ねて下地を造る工法について。
●既存屋根材の段差のため新しい野地板の継ぎ目に沈み込みが発生するため施工しないでください。
●屋根材の口空きやあばれ・踏み割れが発生する原因になります。
また、既存屋根材の上に新しい屋根材を直接重ねて葺く工法を勧められた場合。
屋根下地の状況確認ができず、手直しもできないなど、経年劣化した屋根下地の上に屋根材を葺くことで口空きやあばれ・踏み割れが発生する原因になる施工が禁止されています。
パミール屋根の相談、専門知識を持つ専門家が対応させて頂きます。
パミール屋根のリフォーム工事例。
「ガルバリウム専門の所に頼みたい」(葺き替え)
近所数件がパミールで、数か月前工事が終わった近所の家の屋根に業者が何度も上がっているのを見て不安になった。「ガルバリウム専門の所に頼みたい」とご依頼頂いた例。施工例へ
他社との契約を破棄して。(葺き替え)
専門業者でないと屋根寿命に差が出る事を知り、他社との契約を破棄して当サイトへ。
パミール屋根は葺き替えが望ましい事も知ってしまい不安になった。施工例へ
カバー工法から葺き替えに変更。(葺き替え)
築11年で痛みが見え始めた片流れ屋根。ガルバリウム鋼板での重ね葺き(カバー工法)希望とご依頼でしたが葺き替えになった例。施工例へ
このページにある写真とほぼ同じ状況なので。(葺き替え)
層状剝離、結露、釘錆びが酷く屋根を葺き替えたいとご依頼頂いた例。施工例へ
出来るだけ早く葺き替えたい。(葺き替え)
屋根材が剥がれているので出来るだけ早く葺き替えたいとの依頼例。施工例へ
スレートをパミールに葺き替えたが。(葺き替え)
築20でスレート屋根をパミールに葺き替えたが、屋根が浮いてきている感じがあるので見てもらいとのご依頼でした、屋根材の剥がれ、浮きによる葺き替え。施工例へ
道路に落ちると危ないから。(葺き替え)
屋根材が抜け落ちてきており「道路に落ちると危ないから」と葺き替えた例。施工例へ
屋根が剥がれ飛んでカーポートを破壊。(葺き替え)
固定釘が腐って今にも道路へ落ちそうになっていたパミール、ストーンチップでの葺き替え例。施工例へ
当サイトでお勧めした屋根材が良いと言われた。(葺き替え)
東芝のソーラーが載るパミールa。他社から2種類の屋根材を提案されたが、東芝に問い合わせしたところ、当サイトでお勧めした屋根材が良いと言われた。施工例へ
ニチハの横暖ルーフなどは使いたくない。(葺き替え)
築12年のアパート、パミールが気に入らないので同じニチハの横暖ルーフなどは使いたくないとのご依頼でした。フッ素塗装断熱材付きヒランビーで葺き替え。施工例へ
葺き替えでも見積を出してと言ったら連絡が来なくなった(葺き替え)
3社位に屋根を見てもらったがカバー工法を勧める業者が多い。結露が気になるので今の野地板の上のルーフィングを新しくしてガルバリウムにした方が良いのか?施工例へ
異常無いとお伝えさせて頂いたのですが・・・(葺き替え)
「どうすれば良いか分からない」とのご依頼、担当業者さんが特に異常無いとお伝えさせて頂いたのですが、数か月後やはり葺き替えたいとご連絡頂いた例。【施工例準備中】
隣の家が1年前に葺き替えていて。(葺き替え)
屋根が傷んでおりパミールの可能性がある。隣の家が1年前に葺き替えていて同じような屋根にしたいとのご依頼でした。【施工例準備中】
お客様のご希望によりカバー工法で。(カバー工法)
18年のコロニアルで本体の小さな欠片が落ちてきたとの事でしたが、屋根材はパミールで至る所が欠けて落ちる可能性がありました。お客様のご希望によりカバー工法で施工しました。【施工例準備中】
予算の関係でカバー工法を。(カバー工法)
塗装屋からは塗装ではダメと言われカバー工法を勧められ、他業者から屋根が膨らんでいる所があると言われた。予算の関係でカバー工法を選ばれました。【施工例準備中】
コロニアルグラッサでの葺き替え。(葺き替え)
築11年、複数社に見積依頼しガルバリウム、アスファルトシングルでのカバー工法またはガルバリウム、コロニアルでの葺き替えを検討中とご依頼頂き結果当サイトへ。コロニアルグラッサでの葺き替え。【施工例準備中】
できるだけ早く屋根を変えたい。(葺き替え)
「ニチハのパミール屋根材です、できるだけ早く屋根を変えたい」とご依頼頂き、表面に天然石の付いたローマンに変更し換気棟も取り付けました。【施工例準備中】
修理は不可能なので。(葺き替え)
パミール屋根の修理と葺き替えの見積希望とのご依頼でしたが、修理は不可能なため表面に天然石の付いたディプロマットで葺き替えさせて頂きました。【施工例準備中】
コロニアルがめくれてる感じで天井に染みがある。(葺き替え)
「コロニアルがめくれている感じで、天井に染みがある」と連絡頂きましたが、実際の屋根はパミールで屋根材の隙間から雨水が漏れ出ていました。断熱材付きのダンネツトップ8-1で葺き替え。外壁塗装も同時にご依頼頂きました。【施工例準備中】
野地板を重ね張りする工事を勧められている。(カバー工法)
×他業者からパミールの上に野地板を重ね張り×して、ガルバリウム鋼板にする工事を勧められているとご相談頂いたお客様からの見積依頼。自然石粒のついたエコグラーニでのカバー工法。【施工例準備中】
屋根寿命15年前後、屋根材としては短命に終わったパミール。
原因は屋根材自体にありましたが、ガルバリウム鋼板への葺き替えには注意が必要です。
ガルバリウム鋼板は、屋根材自体に問題はありませんが、工事に問題があるからです。
工事後の施行トラブル、10年以内に再葺き替えになる事例が増えています。
ガルバリウム鋼鈑への葺き替え、施工重視で業者を選ぶべき理由。
パミール屋根のまとめ
- ・パミール屋根で起こる1番目の問題は、屋根を固定する釘の腐食による落下の危険性。
- ・パミール屋根で起こる2番目の問題は、ノンアスベスト化したことにより屋根がボロボロになる剥離・剥がれなどの劣化です。
- ・パミールは結露し易いという問題もあり、新しく葺き替える屋根材の選定や工事法にも影響を与えます。
- ・パミールは塗装出来ない屋根材であり、現れた問題症状により屋根のリフォーム方法も変わるため、専門知識を持つ業者に依頼する必要があります。
- ・新しい屋根に葺き替える場合は、各屋根材メーカーの設計施工マニュアルを基準に適切な屋根材を選ぶ必要があります。
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屋根相談もお気軽にお問い合わせください、専門家が対応させて頂きます。