積水化学工業直属の屋根診断士として活動していたセキスイかわらUの専門家が解説します

セキスイかわらUを修理しようと業者に電話しても「かわらUは修理出来ません!」と言われるケースが多いようです。
確かに修理しても長持ちしないゼロアスベスト(石綿を含まない1991~2009年製造)タイプもありますが、1990年まで製造されたアスベストを含むタイプも多く残っており、30年以上経過していても修理して使い続ける事が可能です。
業者の中には、かわらUの修理方法が分からないから「葺き替えしか勧めない」というケースもあるようです。

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1:セキスイかわらU、丸棟瓦の浮きと剥がれ

台風・強風の影響を受けやすい棟部の丸棟瓦(605×260mm、働き567mm)。
これが浮いていたり、剥がれたりすると強風で近隣へ飛ぶ可能性があるだけでなく、棟中心部から雨が入り込み雨漏りの原因にもなります。
笠木が腐り台風で剥がれたセキスイかわらUの丸棟瓦
丸棟瓦は非常に重要な役割役がある役物です。
棟が剥がれた原因は、1、2とも棟内部に取り付けられた笠木が腐ってしまったからです。
3、4へ続く。

2:セキスイかわらU、棟笠木の重要な2つの役割

棟部分に取り付けた笠木の重要な2つの役割。
1つ目は、瓦屋根などで漆喰の役目をする補助面戸(降り補助面戸)により横方向からの雨水侵入を防ぐ役割があります。
2つ目の役割は、丸棟瓦を固定する役割です。
かわらUの補助面戸と笠釘
3、補助面戸が横方向に飛び出しています。
なかには取れて無くなっている事も多くありますが、補助面戸が正常な位置にないと雨が入り込んでしまうため異常を感じた場合は直ぐに修理が必要になる重要な役割があります。
4、丸棟瓦を上から見た写真ですが、丸棟瓦を固定するための笠釘が左側は抜けて浮き上がっており、右側の笠木は抜けて既に無くなっているのが分かります。

かわらUで使われていた笠釘笠釘(旧タイプ、その後は棟固定ネジに変更)が抜ける原因。
釘頭の下にあるパッキンは徐々に劣化することで隙間が生じて棟内部に雨水が入り込みます。これにより中に取り付けた笠木が腐ってしまい、さらに笠釘が抜けていきます。(セキスイ純正の防腐処理笠木が使われている場合は笠木が腐りません)

3:笠木の取り換え部分修理例

セキスイかわらUの修理例、棟部
2件とも丸棟瓦内部の腐った笠木を入れ替えさせて頂きました。
5は、色違いの丸棟が取り付けられていましたが、以前に一度修理してもらった時のもの。
現在は既に製造中止になっているため壊れてしまうと取り換える部材は手に入りません。
6、丸棟瓦を一度取り外して腐った左側の笠木を取り換えました。

4:入手不可能な丸棟瓦、板金棟に変更する方法

ここからは屋根全体の棟を修理した例です。
セキスイかわらUは、2009年に廃盤になっているため屋根を修理する際に取り換える役物(部材)が現在手に入りません。
そこで丸棟瓦を使わない修理の方法をご紹介しますが、これはセキスイかわらUの施工マニュアルにも載っていた板金棟を使った方法になります。
セキスイかわらUの修理方法、棟部
7、笠木と補助面戸を一度全て撤去して、笠木を止めるために空いた釘穴に防水シールを貼ります。
8、その後に補助面戸を笠木の下に入れ込み固定してから板金の棟包みを取り付けていきます。
今回、笠木を樹脂笠木のタフモックを取り付けましたが、2:の簡易修理例では木製の笠木を使いました。
この使い分けは、お客様がこれから何年くらい屋根を持たせたいを考えているかにより使用する材料を選ぶことが可能です。

樹脂笠木と補助面戸の代用品
9:この写真は、かわらUの部材がまだ手に入る時に修理したもので、正規の棟補助面戸(材質:ソフトロン)を入れ込んだ写真です。
10:ですが現在、補助面戸は現在手に入らないため、欠損して無くなっている場合は何か代わりになるものを取り付ける必要があります。
下り補助面戸の仕様は、厚み25mm×高さ52mm×必要な長さの替え部材が必要でした。
今回は樹脂笠木の下にEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)発砲体のRG防止シーラーを2段にして取り付けました。
EPDMは、耐水・耐候・耐寒性に優れているため補助面戸の代わりとして打ってつけです。

セキスイかわらUの棟修理before&after

セキスイかわらUの修理before&after比較
11、棟修理前の丸棟瓦。
12、板金棟へ取り換え修理完了。(風の強い地域にお住まいの場合は強風工法をお勧め致します)

セキスイかわらUの鳥害

かわらU棟部の補助面戸は、取り付け不良によって外れてしまうこともありますが、鳥害による欠損も多く見受けられます。
セキスイかわらUの鳥害例
瓦であれば漆喰の役目をする補助面戸S。
補助面戸は笠木で上方向から「かわらU本体」に押しつけ固定することで、波形状の隙間を埋める役目をし雨水の侵入を防いでいます。
ですが、補助面戸は柔らかいため取り付け方が悪いと外れて飛んでしまったり、鳥がくちばしで突いて穴を開けてしまうこともあります。
上写真は、棟内部に作られた鳥の巣の写真ですが多くのお宅でこのような状況が見られます。
スズメやムクドリなどにより巣が作られると卵や雛を狙ってカラスが突いてさらに大きな穴を開けたり、ゴッソリはぎ取ってしまうため笠木が腐りやすく雨漏りの原因にもなります。

部分修理と屋根塗装例

セキスイかわらU屋根の修理と屋根塗装
アスベストを含んでいないタイプでの屋根材の状態が良い場合は屋根塗装も可能です。
こちらの場合は、屋根材本体に塗膜が剥がれている所もありましたが殆ど劣化していなかったので塗装しても全く問題ない状態でした。
傷んだ状態のまま塗装しても直ぐに剥がれ長持ちしないので専門業者による診断が必要です。
実際の施工例はコチラ。

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