セキスイかわらU屋根にアスベストが入っているかどうか調べる方法

セキスイかわらUとアスベストの関係

セキスイかわらUは、積水化学工業株式会社が製造・販売していたスレート屋根材です。
軽量で施工性が良く、防火性にも優れていることから多くの住宅で使用されてきました。
しかし、1991年以前に製造されたセキスイかわらUの一部には、アスベスト(石綿)が含まれていることが判明しています。

積水化学工業のアスベスト(石綿)関連情報

アスベスト含有の危険性

アスベストは、天然に産出する繊維状の鉱物で優れた耐熱性、耐薬品性、絶縁性などを持ち、建材をはじめ様々な工業製品に広く使用されていました。
しかし、アスベスト繊維を吸入することで、深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになり、現在では使用が厳しく規制されています。

健康被害のリスク

アスベストの繊維は非常に細く、吸い込むと肺の奥深くまで到達し蓄積されます。
長期間にわたってアスベスト繊維を吸入し続けると、肺がん、悪性中皮腫、アスベスト肺などの深刻な病気を発症するリスクが高まります。
これらの病気は、発症までに長い潜伏期間があるため、早期発見が難しく、治療も困難な場合が多いです。

アスベストによる病気
病気 概要
肺がん 肺に発生する悪性腫瘍。アスベスト曝露に加え、喫煙との相乗効果でリスクが大幅に上昇します。
悪性中皮腫 肺や腹腔、心膜などを覆う中皮に発生する悪性腫瘍。アスベスト曝露が主な原因とされています。
アスベスト肺 アスベスト繊維の吸入により肺組織が線維化し、呼吸機能が低下する病気。
胸膜プラーク 胸膜にできる良性の肥厚病変。アスベスト曝露の指標となりますが、それ自体が健康に影響を与えることは少ないとされています。
発症までの潜伏期間

アスベスト関連の病気は、アスベスト曝露から発症まで数十年の潜伏期間があることが特徴です。
そのため、過去にアスベストに曝露した経験がある人は、定期的な健康診断を受けることが重要です。

関連ページ 「スレート屋根のアスベスト(石綿)含有リスクと適切な対処法」

屋根の劣化症状で見分ける方法

セキスイかわらUのアスベスト含有の有無を屋根の劣化症状からある程度推測できます。
ただし、劣化症状は経年劣化や施工不良、環境要因など様々な原因で発生するため、劣化症状のみでアスベスト含有の有無を断定することはできません。
あくまで参考情報として捉え、最終的な判断は専門業者による分析に委ねることが重要です。

白化現象と剥がれ

セキスイかわらUの表面に見られる白化現象や剥がれは、アスベスト含有の有無を判断する手がかりの一つになります。
ただし、白化や剥がれはアスベスト以外の要因でも発生するため注意が必要です。

アスベスト含有タイプの特徴

アスベスト含有タイプのセキスイかわらUの外観
1991年以前に製造されたアスベスト含有セキスイかわらUは、経年劣化により表面が部分的に剥がれることがあります。
また、色の変化は比較的少ない傾向があります。
これは、アスベスト繊維がセメント材料と強く結合しているためです。

部分的な剥がれ

部分的な剥がれは、強風や飛来物による衝撃、あるいは凍害などが原因で発生することがあります。
アスベスト含有タイプでは、瓦の表面が薄く剥がれることが多く、基材までは達しないことが多いです。

色の変化が少ない

アスベスト含有のセキスイかわらUは、経年劣化による色の変化が少ないのが特徴です。
これは、アスベスト繊維が紫外線による劣化を抑制する効果があるためです。
しかし、長期間の紫外線暴露や風雨の影響で徐々に色褪せが生じることもあります。

ゼロアスベストタイプの特徴

ゼロアスベストタイプのセキスイかわらU外観
1991年以降に製造されたゼロアスベスト(ノンアスベスト)のセキスイかわらUは、経年劣化により表面が白化し、広範囲に剥がれることがあります。
これは、アスベストに代わる補強材の影響によるものです。

広範囲の剥がれ

ゼロアスベストタイプは、経年劣化や施工不良により、瓦の表面が層状に剥がれることがあります。
特に、塗装の劣化が進むと剥がれが顕著になる傾向があります。
また、強風や飛来物による衝撃も剥がれの原因になります。

白化現象の進行

日当たりの良い場所に設置された屋根では、白化現象が進行しやすい傾向があります。
白化自体は防水性能に直接影響するものではありませんが、美観を損ねる原因となります。

剥がれの深さによる違い

剥がれの深さによっても、アスベスト含有の可能性を推測できます。
ただし、剥がれの深さは劣化の程度によって異なるため注意が必要です。

表面だけ剥がれている場合

アスベスト含有タイプのセキスイかわらUの屋根剥がれ
表面だけの剥がれの場合 塗装による補修で対応できる可能性があります。
ただし、剥がれの原因を特定し適切な補修方法を選択することが重要です。
塗装することで、防水性を回復し、美観も改善できます。
ただし、下地処理を適切に行わないと、塗装が剥がれる可能性があります。

関連ページ セキスイかわらUは、塗装か?葺き替えか?

基材まで剥がれている場合

ゼロアスベストタイプのセキスイかわらUの剥がれ
基材まで達するような深い剥がれは、屋根の防水性能を著しく低下させるため葺き替えが必要です。
葺き替えは費用がかかりますが、屋根の機能を回復させるため必要です。

関連ページ セキスイかわらUの屋根工事例。(葺き替え、再カバー工法)

屋根の形状と部材で見分ける

セキスイかわらUのアスベスト含有の有無を屋根の形状や部材から見分ける方法を解説します。
経年劣化による変化ではなく、製造時の形状や部材の違いに着目することで、より確実にアスベスト含有の有無を判断できます。
以下の特徴を参考に、ご自宅の屋根を確認してみてください。
ただし、これらの方法はあくまで目安であり最終的な判断は専門業者による分析が必要です。

網目模様の有無

セキスイかわらUの表面には、製造時期によって網目模様の有無があります。
この網目模様は、製造過程で採用されたプレス成形技術によるもので、アスベスト含有の有無を判断する重要な手がかりになりますが、網目模様がない製品でもゼロアスベストタイプはあります。

網目模様があればゼロアスベスト確実

ゼロアスベストタイプのセキスイかわらU表面の模様
セキスイかわらUの裏面に網目模様がある場合は、ゼロアスベストタイプです。
この網目模様は、1991年以降に製造された製品の特徴です。

1991年以降の製品の特徴

セキスイはかわらUの製造においてアスベストの使用を完全に中止し、ゼロアスベスト製品へと移行しました。
この移行に伴い、製造方法も変更され製品の表面に網目模様が現れるようになりました。

笠釘と棟固定ネジの違い

アスベスト含有タイプかどうか識別できるセキスイかわらUの固定金具
棟の固定方法にもアスベスト含有の有無を見分ける手がかりがあります。
古いタイプのセキスイかわらUでは笠釘が使用されていましたが、ゼロアスベスト製品では棟固定ネジが用いられています。

棟固定ネジの使用

棟固定ネジが使用されている場合は、ゼロアスベストタイプです。
棟固定ネジは、丸棟瓦をより強固に固定するために採用されました。
アスベスト含有タイプでは、笠釘が使用されています。
ただし、改修工事などで後から棟固定ネジに交換されている場合もあるので注意が必要です。

丸棟瓦の長さ

アスベスト含有タイプかどうか識別できるセキスイかわらUの棟瓦の寸法
丸棟瓦の長さからもアスベスト含有の有無が分かります。
アスベスト含有製品とゼロアスベスト製品では、丸棟瓦の長さが異なります。

丸棟瓦の長さ アスベスト含有の有無
1m程度 アスベスト含有の可能性が高い
50cm程度 ゼロアスベストの可能性が高い

上記のように、丸棟瓦の長さが1m程度であればアスベスト含有50cm程度であればゼロアスベストの可能性が高いです。
50cmの丸棟瓦は、施工性を向上させるためにノンアスベスト製品で採用されました。

袖瓦の高さ

アスベスト含有タイプかどうか識別できるセキスイかわらUの袖瓦の寸法
袖瓦の高さもアスベスト含有の有無を見分けるポイントになります。
アスベスト含有製品とゼロアスベスト製品では、袖瓦の高さが若干異なります。

袖瓦の高さ アスベスト含有の有無
10cm程度 アスベスト含有の可能性が高い
13cm程度 ゼロアスベストの可能性が高い

袖瓦の高さが10cm程度であればアスベスト含有13cm程度であればゼロアスベストの可能性が高いです。
13cmの袖瓦は、雨仕舞いを向上させるためにゼロアスベスト製品で採用されました。
しかし、これらの寸法はあくまで目安であり、製造時期や製品の種類によって異なる場合があります。
正確な判断のためには、専門業者に相談することをおすすめします。

セキスイかわらUのアスベスト含有の見分け方について解説しました。
1991年以前のセキスイかわらUにはアスベストが含まれており、健康被害のリスクがあるため注意が必要です。
屋根の劣化症状では、白化現象や剥がれ具合、剥がれの深さで見分けることができます。
アスベスト含有タイプは部分的な剥がれで色の変化が少ないのに対し、ゼロアスベストタイプは広範囲の剥がれと白化現象の進行が見られます。
表面だけの剥がれであれば塗装による補修が可能ですが、基材までの剥がれの場合は葺き替えが必要です。
このページに記載した情報をもとに、ご自宅のセキスイかわらUがアスベスト含有かどうかを確認し、適切な対応を検討しましょう。

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