外壁リフォームで人気のガルバリウムカバー工法は、高い耐久性とデザイン性から注目されていますが、費用相場で後悔しないための知識・費用の内訳、既存の外壁材による費用の違いと注意点について解説します。
1. 外壁ガルバリウムカバー工法が注目される理由とは?
近年、住宅リフォーム、特に外壁のメンテナンスにおいて「ガルバリウムでの外壁カバー工法」が注目を集めています。
これは、既存の外壁材を基本的に撤去せず、その上から新しい外壁材であるガルバリウム鋼板を重ねて張るリフォーム手法です。
従来の「張り替え工法」のように既存壁を解体する必要がなく、「塗装」よりも高い耐久性や機能性向上を期待できることから多くの戸建て住宅で採用されるケースが増えています。
1.1 そもそも外壁カバー工法とは?
外壁カバー工法は、既存の外壁材の上から新しい外壁材を重ねて施工するリフォーム方法です。
「重ね張り工法」とも呼ばれ、以下の特があります。
- 既存外壁の解体が不要: 既存の外壁を撤去しないため、解体に伴う費用や騒音、粉塵の発生を抑えられます。
また、アスベスト含有の可能性がある古い外壁材の場合でも、封じ込める形で安全に対処できる場合があります。 - 工期の短縮: 解体作業がない分、張り替え工法と比較して工事期間を短縮できます。
- 廃材の削減: 既存壁を処分する必要がないため、産業廃棄物の量を大幅に削減でき、環境負荷の低減にもつながります。
- 断熱性・遮音性の向上: 外壁が二重構造になるため、断熱性能や遮音性能の向上が期待できます。
ただし、カバー工法は既存の外壁の状態が比較的良好であることが前提となります。
下地の劣化が著しい場合や、雨漏りが発生している場合は、補修や部分的な張り替えが必要になることもあります。
1.2 ガルバリウムでの外壁カバー工法が選ばれる5つの理由
ガルバリウム鋼板の優れた特性とカバー工法のメリットが組み合わさることで、多くの利点が生まれます。
これが、ガルバリウムカバー工法が注目される理由です。
理由1:既存外壁を活かした効率的なリフォーム
最大の魅力の一つは、解体費用や廃材処理費用がかからない点です。
特に、アスベスト含有が疑われる古い外壁材の場合、撤去・処分には高額な費用と厳格な手続きが必要になりますが、カバー工法ならその負担を大幅に軽減できます。
また、解体作業がないため工期が短縮され、住みながらのリフォームも比較的容易になります。
理由2:建物の長寿命化と機能性向上
高耐久なガルバリウム鋼板で外壁全体を覆うことで、紫外線や風雨から既存の外壁と建物を保護し、住宅の長寿命化に貢献します。
さらに、既存壁との間に空気層ができる、または断熱材一体型のガルバリウム鋼板を使用することで、断熱性や遮音性の向上も期待でき、より快適な住環境を実現します。
理由3:現代的な住まいにマッチするデザイン性
ガルバリウム鋼板は、その金属的な質感からモダンでスタイリッシュな外観を演出しやすい素材です。
フラットなデザインから波板状、木目調や石積調などの意匠性の高いものまで、色や形状のバリエーションが豊富に揃っています。
これにより、建物のイメージを一新し、デザイン性の高い住宅を実現できます。
理由4:メンテナンス負担の軽減
ガルバリウム鋼板自体は非常に耐久性が高く、錆びにくい素材です。
そのため、定期的な塗り替えの頻度を減らすことができ、長期的なメンテナンスコストの削減につながります。
ただし、全くメンテナンスが不要というわけではなく、定期的な点検や清掃は必要です。
理由5:アスベスト含有外壁への有効な対策
2006年以前に建てられた住宅の窯業系サイディングやスレート外壁には、アスベストが含まれている可能性があります。
これらの外壁を解体・撤去する場合、飛散防止対策などで高額な費用がかかることがあります。
カバー工法は、既存の外壁を封じ込める形で施工できるため、アスベスト対策としても有効な選択肢となり得ます。
これらの理由から、外壁ガルバリウムカバー工法は、機能性、デザイン性、コスト効率、そして安全性といった多角的なメリットを持つリフォーム方法として、多くの住宅所有者から選ばれています。
2. 外壁をガルバリウムでカバー工法する費用相場と内訳
外壁リフォームの中でも人気の高いガルバリウム鋼板を用いたカバー工法ですが、やはり気になるのは費用面でしょう。
「思ったより高かった」「追加費用が発生して予算オーバーした」といった後悔をしないためには、事前に費用相場と内訳をしっかり把握しておくことが重要です。
2.1 平米単価の目安
外壁ガルバリウムカバー工法の費用を比較検討する際、まず基準となるのが平米単価(1平方メートルあたりの費用)です。
一般的な平米単価の目安は、約8,000円~15,000円/㎡程度とされています。
この単価には、ガルバリウム鋼板本体の材料費、基本的な施工費、下地材(胴縁や防水シートなど)の費用が含まれます。
ただし、この単価はあくまで目安であり、以下の要因によって変動します。
- 使用するガルバリウム鋼板の種類: メーカー、グレード、厚み、断熱材の有無、デザイン性など。
- 既存外壁の状態: 補修や下地処理の必要性の有無、その範囲。
- 建物の形状や立地: 凹凸の多さ、階数、隣家との距離などによる足場の組みにくさ。
- 施工業者の設定価格: 業者ごとの利益率や仕入れルートの違い。
特に断熱材一体型のガルバリウム鋼板や、デザイン性の高い製品を選ぶと単価は上昇します。
正確な単価を知るためには、専門業者に見積もりを依頼し、単価に含まれる内容を詳細に確認する必要があります。
2.2 一般的な戸建て住宅での総額相場
それでは、一般的な戸建て住宅で外壁全体をガルバリウムカバー工法でリフォームした場合、総額はどのくらいになるのか?
延床面積30坪(約100㎡)で、外壁面積が120㎡~150㎡程度の住宅を例にすると、総額費用の相場は約150万円~300万円程度となることが多いです。
この総額には、通常、以下の費用が含まれます。
- ガルバリウム鋼板本体の材料費
- 足場の設置・解体費用
- 既存外壁の処理・補修費用(必要な場合)
- 防水シート・下地材(胴縁など)の費用
- 施工費(人件費)
- 諸経費(現場管理費、運搬費、廃材処理費など)
ただし、これもあくまで目安です。
建物の形状が複雑であったり、付帯部(雨樋、破風板、軒天など)の塗装や交換も同時に行ったりする場合は、費用がさらに加算されます。
例えば、40坪、50坪と延床面積が大きくなれば、それに比例して外壁面積も増え、総額も高くなります。
2.3 ガルバリウムカバー工法の費用内訳詳細
ガルバリウムカバー工法の見積もりを確認する際には、総額だけでなく、その内訳を詳細にチェックすることが非常に重要です。
各項目が適正な価格であるか、必要な工事がきちんと含まれているかを確認することで、不当に高額な請求や、後からの追加費用発生といったトラブルを防ぐことができます。
以下に、主な費用内訳項目とその内容について詳しく見ていきましょう。
2.3.1 材料費 ガルバリウム鋼板本体
工事費用の中で最も大きな割合を占めるのが、ガルバリウム鋼板本体の材料費です。
価格は、どのメーカーのどの製品を選ぶかによって大きく変動します。
主な価格変動要因は以下の通りです。
- メーカー・ブランド: アイジー工業、ニチハ、KMEW(ケイミュー)など、各社が多様な製品を展開しています。
- 鋼板の厚み: 厚いほど耐久性は高まりますが、価格も上がります(例: 0.35mm、0.4mmなど)。
- 表面塗装の種類: フッ素樹脂塗装や遮熱性塗装など、高機能な塗装は価格が高くなります。
- デザイン・色: 木目調や石積調などの意匠性の高いデザインや、特殊な色は価格が上がる傾向があります。
- 断熱材の有無: 裏面にウレタンフォームなどの断熱材が充填された「断熱材一体型」は、断熱性・遮音性向上に効果がありますが、材料単価は高くなります。
どのガルバリウム鋼板を選ぶかは、予算だけでなく、求める性能(耐久性、断熱性、デザイン性など)を考慮して慎重に決定しましょう。
2.3.2 足場設置費用
外壁工事において、安全かつ確実に作業を進めるためには足場の設置が不可欠です。
足場設置・解体費用も、総費用の10%~20%程度を占める重要な項目です。
足場費用の相場は、1平方メートルあたり約700円~1,200円程度が目安です。
この費用には、以下の内容が含まれるのが一般的です。
- 足場の運搬費(トラックでの搬入・搬出)
- 足場の組立費(設置作業)
- 足場の解体費(撤去作業)
- 養生シート(メッシュシート)設置費(塗料や粉塵の飛散防止)
建物の高さや形状、敷地の状況(狭小地、傾斜地など)によって、足場の種類や規模が変わり、費用も変動します。
2.3.3 既存外壁の処理 補修費用
カバー工法は既存の外壁の上に新しい外壁材を重ね張りしますが、既存の外壁の状態によっては、事前の処理や補修が必要になります。
この費用は、劣化の程度によって大きく変動します。
主な処理・補修内容は以下の通りです。
- 高圧洗浄: 既存外壁の汚れ、カビ、コケなどを洗い流します(カバー工法では省略される場合もあります)。
- ひび割れ(クラック)補修: モルタル壁などのひび割れに補修材を注入します。
- 浮き・剥がれの補修: モルタルやサイディングの浮いている箇所をビスで固定したり、部分的に撤去・補修したりします。
- シーリング(コーキング)処理: サイディングの目地や窓周りの劣化したシーリングを撤去し、新しく打ち替えます(カバー工法で隠れる部分でも、防水上重要な箇所は処理することが望ましい)。
- ケレン作業: 鉄部のサビや古い塗膜を除去します(付帯部の塗装も同時に行う場合)。
既存外壁の劣化が著しい場合、補修費用が高額になったり、カバー工法自体が適さないと判断されたりすることもあります。
現地調査の際に、どのような補修が必要で、どれくらいの費用がかかるのかをしっかり確認することが重要です。
2.3.4 防水シート 下地材費用
建物の防水性能と耐久性を確保するために欠かせないのが、防水シート(透湿防水シート)と下地材(胴縁)です。
これらの材料費と施工費も費用に含まれます。
- 防水シート(透湿防水シート): 既存外壁の上に貼り、万が一の雨水の侵入を防ぎます。
同時に、壁内部の湿気を外に逃がす透湿性を持つことで、内部結露を抑制します。建物の寿命に関わる重要な部材です。 - 下地材(胴縁): 既存外壁とガルバリウム鋼板の間に取り付ける木材や軽量形鋼です。
ガルバリウム鋼板を固定する役割と、壁内部の空気を流動させる「通気層」を確保する役割があります。
この通気層が、結露防止や断熱効果の向上に貢献します。
これらの部材が適切に選定され、正しく施工されることが、カバー工法の性能を最大限に引き出す鍵となります。
2.3.5 施工費 人件費
施工費は、実際に工事を行う職人の技術料や作業代、いわゆる人件費です。
ガルバリウムカバー工法の仕上がり品質は、職人の経験や技術力に大きく依存するため、適正な施工費が計上されていることは非常に重要です。
施工費は、工事全体の難易度、作業日数、必要な職人の人数などに基づいて算出されます。
一般的には、材料費や他の経費と合わせて一式で提示されることもありますが、見積書によっては「施工費」「労務費」などの項目で記載されます。
極端に安い見積もりは、人件費を削っている可能性があり、手抜き工事や施工不良につながるリスクも考えられます。
単に価格の安さだけで判断せず、施工実績や会社の信頼性も考慮して業者を選びましょう。
2.3.6 諸経費 廃材処理費など
諸経費は、工事を円滑に進めるために必要な上記以外の間接的な費用をまとめたものです。
一般的には、総工事費用の5%~10%程度が目安とされますが、業者によって計上方法や含まれる内容は異なります。
主な諸経費の内容は以下の通りです。
- 現場管理費: 工事全体の進行管理、安全管理、品質管理などにかかる費用。
- 運搬費: 材料や足場部材、工具などの現場への搬入・搬出費用。
- 交通費・駐車場代: 職人や現場監督の移動にかかる費用。
- 各種保険料: 労災保険、賠償責任保険など、万が一の事故に備える保険料。
- 事務手数料: 見積書作成、契約書作成などの事務作業費用。
- 近隣挨拶時の粗品代など。
また、カバー工法は廃材が少ない工法ですが、既存外壁の部分的な撤去や補修、古いシーリング材の撤去などで廃材が発生します。
これらの産業廃棄物を法律に従って適正に処理するための費用(廃材処理費、産業廃棄物処理費)も必要です。
特に、古い建物の場合、アスベスト含有建材の処理が必要になるケースがあり、その場合は高額な費用がかかることがあります。
見積もりに廃材処理費が含まれているか、アスベスト調査の有無なども確認しておくと安心です。
2.4 既存の外壁材による費用の違い
ガルバリウムカバー工法の費用は、現在お住まいの外壁材の種類によって、下地処理の手間や必要な工程が変わり、費用に影響が出る場合があります。
ここでは、代表的な既存外壁材である「サイディング」と「モルタル」の場合について、費用の違いが生じる可能性のあるポイントを解説します。
2.4.1 サイディング外壁の場合
窯業系サイディングや金属サイディングが既存の外壁材の場合、比較的表面が平滑で、下地の状態も安定していることが多いため、モルタル壁に比べて下地処理の手間が少なく済む傾向があります。
その結果、既存外壁の補修費用が抑えられる可能性があります。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- サイディングボードの劣化: 反り、浮き、割れ、欠けなどがある場合は、部分的な交換やビスでの固定などの補修が必要です。
- シーリング(コーキング)の劣化: ボード間の目地やサッシ周りのシーリングが劣化している場合は、打ち替えを行うのが理想的です。
カバー工法で隠れてしまう部分ですが、防水性を高めるためには重要な工程です。 - 既存サイディングの凹凸: デザインによっては凹凸が大きいサイディングもあり、その場合は胴縁の厚み調整や下地調整に通常より手間がかかることがあります。
これらの補修や調整が必要な場合、その分の費用が加算されます。
2.4.2 モルタル外壁の場合
リシン吹付、スタッコ仕上げ、左官仕上げなどのモルタル外壁は、経年劣化によってひび割れ(クラック)や浮き、剥がれが発生しやすいという特性があります。
そのため、サイディング外壁と比較して、下地処理や補修に手間と費用がかかるケースが多くなります。
特に注意すべき点は以下の通りです。
- ひび割れ(クラック): 幅の広いひび割れや構造的な動きが原因のひび割れは、Uカットシーリング工法などの適切な補修が必要です。
- 浮き・剥がれ: モルタル層が下地から浮いている場合、放置すると剥落の危険があるため、注入やビス固定、場合によっては部分的な撤去・左官補修が必要になります。
- 下地の状態: モルタル壁は、その下の防水紙やラス網(モルタルを固定する金網)の状態も重要です。
劣化が進んでいる場合は、カバー工法が適さないこともあります。
モルタル外壁の場合は、特に念入りな現地調査と診断が不可欠です。
補修箇所が多くなると、その分費用もかさみます。
見積もり時には、どのような補修を行うのか、その詳細と費用をしっかり確認しましょう。
3. 施工業者選びの重要性
外壁ガルバリウムカバー工法は、正しい知識と高い技術力を持った専門業者による施工が不可欠です。
施工品質が低いと、以下のような重大な問題が発生するリスクがあります。
- 雨漏り: 板金同士の接合部やサッシ周りなどの防水処理が不適切だと、雨水が浸入し、建物の構造躯体を劣化させる原因となります。
- 早期の劣化: 下地処理の不足や不適切な部材の使用は、ガルバリウム鋼板本来の耐久性を損ない、早期の錆びや変形につながる可能性があります。
- 断熱性・遮音性の低下: 本来期待できる断熱性や遮音性が、施工不良によって十分に発揮されないことがあります。
- 美観の損失: 施工が雑だと、外壁の歪みや隙間、コーキングの乱れなどが目立ち、せっかくのデザイン性が損なわれます。
カバー工法特有の注意点として、既存外壁と新規外壁の間の通気層の確保や、適切な防水・透湿シートの選定と施工などが挙げられます。
これらの知識や経験が乏しい業者に依頼してしまうと、後々大きなトラブルに発展する可能性が高まります。
業者選びの際には、ガルバリウムカバー工法の施工実績が豊富か、建設業許可や板金工事業などの資格を保有しているか、詳細な見積もりと丁寧な説明があるか、そして保証やアフターサービスの内容などをしっかりと確認することが極めて重要です。
3.1 公共施設・ゼネコン・会社、工場を工事する専門職人が対応。
一般住宅の外壁工事もご依頼頂けることになりました。
「ガルバリウムで外壁をリフォームしたい」という一般のお客様からの問い合わせについて。
屋根無料見積comでは、公共施設・ゼネコン・会社、工場を担当しているガルバリウム専門職人への見積もり依頼をお受け出来るようになりました。
お住まいの地域や担当者の都合によりお受けできない場合もありますが、ご希望のお客様は一度お問合せ下さいませ。