トタン屋根の張り替えを検討している方へ。
本記事では、長く住まう家や建物を守るために欠かせないトタン屋根の張り替えに関する重要なポイントを解説します。

役物部材の工事ポイント

【トタン屋根の構造、役物部材の名前】
トタン屋根の役物部材
➊軒先唐草 ❷鼻隠し ❸ドブ(溝板=低い部分) ❹カッパ(高い部分) ❺棟包み

➊ 軒先唐草の役割と取り付け時の注意点

軒先唐草は、初めに取り付ける役物部材で、屋根の軒先部分に取り付ける非常に重要な役割があります。
この役物部材は主に雨水を適切に誘導し、屋根材の端を保護するための機能を持っています。
軒先唐草がきちんと固定されることで、屋根本体が風雨によるダメージを受けにくくなり、屋根の長寿命化に寄与する役割があります。

軒先唐草を取り付ける際には、いくつかの注意点があります。
施工のほんの小さなずれが屋根の防水性能に影響を及ぼす可能性があるため、以下の3点を特に意識しましょう。

注意点 具体的なポイント 結果・影響
正確な設置 軒先の下地板(広小舞)が腐るのを防ぐ役割もあるため適切な位置への取り付けが必要。 雨水侵入リスクを軽減。
耐風性の確保 トタン本体と、きちんと嚙合わせることで強風による屋根の剥がれを防げる。 強風被害を抑制。

特に台風や暴風雨が多発する地域では、軒先唐草を強固に固定しておく必要があります。

❷ 鼻隠しが果たす機能と施工のチェックポイント

鼻隠しは、軒先唐草とドブ(トタン本体)を取り付けた後に取り付ける役物です。
軒先唐草の後に取り付けた垂木(木材)の軒先部分から雨水が入り込むを防ぎ、垂木を保護する役目を果たし建物の美観を整える役割もあります。
まとめると、垂木(木材)の先端部分が腐るのを防いだり、軒先から雨水が入り込むのを防ぐことです。

施工時には、以下の点に注意が必要です。
取り付けの徹底: 軒先唐草・トタン本体・カッパとを隙間なく接合させることで雨水の侵入を防ぎます。
木部との密着性: 鼻隠しが垂木(木材)としっかりと接合されるよう固定します。
特に鼻隠しの施工が不完全な場合、垂木(木材)が内部から腐食し、建物全体の耐久性を損なう恐れがあります。
そのため、施工後の点検を欠かさず行い、隙間やズレがないか確認しましょう。

❸ ドブ(屋根本体)設置の重要ポイント

ドブとは、トタン屋根本体(低い部分)のことです。
軒先役物を取り付けた後、まず縦方向に垂木(木材)を1.5寸(455mm)毎に取り付けます。
取り付けた垂木と垂木の間にある低く平らになった所にドブ(トタン屋根本体)を取り付けます。

施工時の重要なポイントは以下の通りです。
軒先唐草と噛み合わせる。
ドブトの先端部を下方向に折曲げ、先に取り付けてある軒先唐草と曲げ加工したドブを接続して噛み合わせます。
ドブの立上げ加工1。
雨水が垂木(木材)に接しないよう垂木の側面に接するドブを90°立ち上げ加工します。
ドブの立上げ加工2。
屋根の最上部で棟包みを取り付ける部分からの雨水侵入を防ぐため、棟部を縦方向に90°立ち上げ加工します。
設置が不十分な場合、雨漏りや防水性の低下を招く可能性があります。
また、施工後は定期的なメンテナンスが必要で、特に錆びや汚れを発見した際には早めに対処しましょう。

❹ カッパの重要性と施工ミスを避けるポイント

カッパは、垂木(木材)をカバーするように取り付ける役物です。
主な役割は、カッパ内部に取り付けた垂木(木材)が腐るのを防ぎ、雨水が接合部から建物内部に侵入するのを防ぐことです。

施工時の主な注意点は以下の通りです。
緩みがないかを確認。
釘はカッパ側面に打ち込みますが、強固に固定されていることを施工後に必ずチェック。
適正な重ね代。
特に接合部分で防水性を高めるため、適切な重ね代を保つこと。
施工ミスが原因で雨水侵入が発生すると、家全体の劣化を招き、大規模な修理が必要になる場合があります。
そのため、細部にまで注意を払い、信頼できる業者に依頼することが大切です。
また、取り付け後3~5年を目安に定期点検を行い、部材の状態を確認しましょう。

❺ 棟包みの役割と取り付けの注意点

棟包みは、屋根の頂上部分に取り付ける非常に重要な役物部材です。
主な役割は、頂上部分からの雨水侵入を防ぐことです。

施工時の主な注意点は以下の通りです。
他役物との関連。
トタン屋根の棟包みは、ドブ・カッパと関連して雨水侵入を防ぎます。
固定釘の確認。
釘が適切な間隔で正確に打たれているかを必ずチェック。
棟廻りの他の役物部材との取り合いが悪いと隙間が生じて雨水が侵入したり、強風や台風で棟包みが剥がれ飛ぶ原因になります。
そのため、それぞれの役物部材を正確に隙間なく取り付ける必要があるため細部にまで注意を払い、施工技術の高い業者に依頼することが大切です。
また、棟包み内部に取り付けた笠木が傷んでいないか定期的な状態確認が必要です。

トタン屋根張り替え工事でよくある失敗と対策

トタン屋根張り替え工事の失敗事例

役物部材の施工ミスによる雨漏りの事例

トタン屋根の選び方
トタン屋根工事において、役物部材の取り付けミスは雨漏りの主な原因の一つです。
特に軒先唐草の取り付けが不適切である場合、屋根の端から雨水が下地の内部に侵入し、木材の腐敗や断熱材の性能低下を引き起こすことがあります。
一例として、施工中に強風が吹いても問題がないようにしっかり固定されていない軒先唐草は、簡単に外れてしまい、大雨の際に深刻なダメージをもたらします。

さらにケラバ(切妻屋根の左右の端部)の仕上げが甘いと、雨と一緒に吹き込む風によって雨水が屋根の内部に入り込みやすくなり、結果的に雨漏りが広がることがあります。
加えて棟包みの処理が不十分だと、屋根の頂上部分を伝って雨水が侵入しやすくなります。
このような事例は、経験不足の業者によって生じることが多いです。

対策としては、役物部材ごとの工事ガイドラインに基づいた施工を行っているか?事前に業者に確認することが重要です。
また、工事後には施工ミスを見逃さないために、自分自身で点検をするか、第三者機関を利用して中立的な立場で点検を依頼することも有効です。

材料選びの失敗とその結果

トタン屋根張り替え事例
トタン屋根張り替えで失敗が多いポイントとして材料選びの不適切さが挙げられます。
トタン屋根は軽量でコストパフォーマンスも良いですが、適切な素材や厚みを選ばなければ、耐久性や機能性に悪影響を及ぼします。

例えば、防錆処理がされていない安価なトタン材を選ぶと、数年以内にサビが発生する可能性が高まります。
都市部などの酸性雨が多い地域では、施工後わずか3~5年程度で大規模な再工事が必要になる事例もあります。
また、薄すぎる素材を選んでしまった場合、強風や雹(ひょう)などの影響で容易に損傷してしまいます。

材料選びで失敗しないためには、耐久性のある防錆加工済みトタン材を選ぶことが必須です。
さらに、塗装の品質についても確認しましょう。
信頼性の高い製品を選ぶことで、長期的なコスト削減が可能です。

業者選定で気を付けるべきポイント

トタン屋根張り替えの流れ
トタン屋根張り替えで失敗しないためには、何よりも信頼できる業者選びにかかっています。
しかし、コスト削減を優先しすぎて技術不足の業者に依頼してしまうことは、後々大きなトラブルに繋がる原因になります。

具体的な失敗例として、トタン屋根工事の専門技術を持たない業者に依頼してしまうと、施工不良や工期が長引くケースがあります。
一部の業者では工事開始後に追加料金を請求することもあり、トータルコストが事前見積もりを大きく超えるトラブルも報告されています。
加えて、雨仕舞(あまじまい)、つまり雨水を確実に屋外へ排出する施工技術が不足していると雨漏りの原因となることが多いです。

優良な業者を選定するには、トタン屋根工事で必要とされる専門資格や技術を備えているか?見積もりの内容が明確かつ詳細であるか?を確認することが重要です。
また、施工後の保証が明示されている業者を選ぶことで、長期的な安心感を得ることができます。

失敗の種類 原因 対策
役物部材の施工ミス 専門知識と技術の不足 ガイドラインや施工後の点検を徹底
材料選びの失敗 安価な屋根材の選定 防錆加工された高耐久の材料を選択
業者選定の失敗 不十分な下調べやコスト優先の選択 実績・口コミ・保証内容を重視

トタン屋根の張り替えは、住宅の防水性や耐久性を高める重要な工事です。
しかし、施工における注意点や役物部材の正しい選定・取り付けが適切に行われなければ、雨漏りや劣化を招くリスクがあります。
例えば、軒先唐草や棟包みといった役物部材の設置が不十分だと、雨水が建物内部に染み込みやすくなることがあり、これが一つの失敗例です。
そのため、信頼できる業者を選び、事前に詳細なプランニングを行うことが成功の鍵といえます。
また、素材選びやメンテナンス性の確認も念入りに行いましょう。
長期的な視点でトタン屋根を選定し、確実な施工を行うことで、美観と機能性を保ちながら安心できる住まいを実現することができます。

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