工場の折半屋根に折半屋根カバー工法例
会社のスレート屋根に折半屋根カバー工法例

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折半屋根、大波・小波スレート屋根の雨漏り修理やカバー工法例を掲載しています。

目次

1. 折半屋根カバー工法とは

折半屋根カバー工法は、既存の折半屋根や波型スレート(大波・小波スレート)屋根の上に新しい折半屋根を被せる改修工法です。
この方法は、屋根の寿命を延ばし、断熱性能を向上させる効果的なリノベーション手法として注目されています。

1.1 折半屋根の特徴と課題

折半屋根は、工場や倉庫、体育館などの大型建築物でよく使用される屋根形状です。
その主な特徴と課題は以下の通りです。

  • 軽量で施工が容易
  • 大スパンに対応可能
  • コストパフォーマンスが高い
  • 経年劣化による錆びや腐食
  • 結露や漏水のリスク
  • 断熱性能の不足

特に、経年劣化による問題は深刻で、屋根の寿命が近づくにつれて様々な不具合が発生します
国土交通省の調査によると、折半屋根の耐用年数は約20〜30年とされています。

1.2 カバー工法の仕組みと利点

折半屋根カバー工法は、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根を被せる方法です。
その仕組みと主な利点は以下の通りです。

1.2.1 カバー工法の仕組み

  1. 既存屋根の点検と補修
  2. 新しい屋根材の取り付け用の下地材設置
  3. 新しい折半屋根材の取り付け
  4. 防水処理と仕上げ

1.2.2 カバー工法の主な利点

利点 詳細
工期の短縮 既存屋根の撤去が不要なため、通常の屋根改修よりも工期が短い
コスト削減 撤去費用や廃棄物処理費用が削減できる
建物への負担軽減 既存屋根を活かすため、建物構造への負担が少ない
断熱性能の向上 新旧屋根間の空間が断熱層となり、断熱効果が高まる
防水性能の向上 新しい屋根材による二重の防水効果が期待できる

折半屋根カバー工法は、既存の屋根を活かしながら新しい屋根の性能を付加できる効率的な改修方法です。
気象庁のデータによると、近年の気候変動により豪雨や強風が増加傾向にあり、屋根の耐久性向上は重要な課題となっています。
このような背景から、折半屋根カバー工法の需要が高まっています。

1.2.3 適用可能な屋根の種類

折半屋根カバー工法は、以下のような既存屋根に適用可能です。

  • 折半屋根
  • 波型スレート屋根
  • 金属屋根(ガルバリウム鋼板など)
  • 一部のFRP屋根

ただし、既存屋根の状態や建物の構造によっては適用できない場合もあるため、専門家による事前調査が必要です。

1.2.4 カバー工法の施工プロセス

折半屋根カバー工法の一般的な施工プロセスは以下の通りです。

  1. 事前調査と計画立案
    • 既存屋根の状態確認
    • 建物構造の強度確認
    • 新しい屋根材の選定
  2. 既存屋根の補修と清掃
    • 錆びや腐食部分の補修
    • 表面の洗浄と下地処理
  3. 下地材の設置
    • 新しい屋根材を支える骨組みの設置
    • 断熱材の挿入(必要に応じて)
  4. 新しい折半屋根材の取り付け
    • 屋根材の固定
    • 継ぎ目の処理
  5. 防水処理と仕上げ
    • シーリング材の塗布
    • 排水システムの確認と調整
  6. 最終検査と引き渡し
    • 施工品質の確認
    • 漏水テストの実施

この施工プロセスにより、既存屋根の問題を解決しつつ、新しい屋根の性能を付加することができます

1.2.5 折半屋根カバー工法の適用事例

折半屋根カバー工法は、様々な建築物で活用されています。
以下に代表的な適用事例を示します。

  • 工場施設:生産ラインを止めずに屋根改修が可能
  • 倉庫:保管物への影響を最小限に抑えながら改修可能
  • 体育館:活動を中断せずに屋根の性能向上が可能
  • 商業施設:営業を継続しながら屋根改修が可能

これらの事例から、折半屋根カバー工法は建物の用途や運用状況に柔軟に対応できる改修方法であることがわかります
日本建築士会連合会の報告によると、特に大型建築物の屋根改修において、この工法の採用率が年々増加しているとのことです。

2. 折半屋根カバー工法の実例紹介

2.1 オフィス兼工場屋根の施工事例

工場の折半屋根が雪と雨の影響で雨漏り、折半屋根カバー工法事例
工場施設は広い面積の屋根を持つことが多く、折半屋根カバー工法の効果が大きく発揮される場所です。
ある印刷会社のオフィス兼工場の施工事例を紹介します。

2.1.1 施工前の状況

折半屋根に積もった雪と雨の影響で雨漏りが発生していました。
生産ラインへの影響を最小限に抑えるため、屋根の全面交換ではなくカバー工法が選択されました。

2.1.2 施工内容

  • 既存屋根の上に空調の室外機が10機前後、 消火用タンクもあり重機を使って移動しながらの施工
  • 断熱材の設置
  • 新しい折半屋根パネルの取り付け
  • 雨どいの軒樋取り換え

2.1.3 施工結果

工期約1ヶ月で完了し、生産ラインを止めることなく施工が可能でした。
新しい屋根により、雨漏りが解消され、結露防止・冷暖房費の節約にもなりました。

2.2 会社屋根の施工事例

雨漏りする折半屋根に折半屋根をカバー工法
屋根勾配の影響で築年数が浅くても雪で雨漏りする事例がありますが、折半屋根カバー工法に勾配対策を施した施工事例をご紹介します。

2.2.1 施工前の状況

隣が家事になった影響で陥没、一部分は取り換えてもらったが変形し凹んだ影響から積雪や大雨で雨漏りする。

2.2.2 施工内容

既存の折半屋根にカバー工法した後、屋根の接続部分から雨水が入り込まないよう傘型板金を加工して取り付け、二重の安全策を講じました。

2.3 事務所兼工場の小波スレート屋根の施工事例

工場の波型スレートに折半屋根カバー工法
築40~50年経過するオフィス兼工場の小波スレートへの折半屋根カバー工法の事例です。

2.3.1 施工前の状況

経年劣化によって一部雨漏りしていた。

2.3.2 施工内容

  • 波型スレート屋根に下地鉄骨を取り付けたカバー工法
  • ルーフファン取り換え、ダクト廻りの構造変更
  • 外壁の波型スレートに角波鉄板でカバー工法

2.3.3 施工結果

屋根と外壁、サッシなどを含む外回りを全て変更したため新築のように変貌。
屋根・外壁カバー工法をする前に工場内や下地を鉄骨補強したことで耐震性がアップしました。

2.4 ハウスメーカー折半屋根の施工事例

ハウスメーカーの折半屋根カバー工法
築39年、修理や塗装を繰り替えしたハウスメーカーの折半屋根カバー工法した施工事例をご紹介します。

2.4.1 施工前の状況

近隣で遊ぶ子供による投石等で穴が空いた折半屋根、何度かコーキング補修していたが修理するより屋根全体を変えた方が良いと考えた。

2.4.2 施工内容

断熱効果を高めるためグラスウール断熱材を敷いて折半屋根にカバー工法。
屋根から雨樋へ流れる雨水がオーバーフロー気味だったので軒先をカットし長さを調整。
傷んだ駐車場の塩ビ波板の取り換え。 実際の施工事例はコチラ

2.5 実例から学ぶ折半屋根カバー工法の効果

これらの実例から、折半屋根カバー工法の主な効果をまとめると以下のようになります。

  1. 雨漏りの確実な解消
  2. 建物の断熱性能の大幅な向上
  3. 施設の快適性・機能性の向上
  4. 工事中の業務継続が可能
  5. 社会的評価の向上

折半屋根カバー工法は、様々な用途の建物で効果を発揮し、建物の長寿命化と省エネルギー化に貢献しています。
各事例の成功要因を分析し、自身の建物に適した工法を選択することが重要です。

3. 波型スレート(大波・小波スレート)屋根への折半屋根カバー工法

倉庫の大波スレート屋根に折半屋根カバー工法
(貸し倉庫の大波スレート屋根にカバールーフを施工した例)
波型スレート屋根は、かつて多くの工場や倉庫で使用されてきましたが、経年劣化による問題が顕在化しています。
折半屋根カバー工法は、これらの問題を効果的に解決する方法として注目されています。

3.1 波型スレート屋根の問題点

波型スレート屋根には、以下のような問題点が存在します。

  • アスベスト含有の可能性
  • 経年劣化による強度低下
  • 雨漏りのリスク増大
  • 断熱性能の不足

特にアスベスト含有の問題は深刻で、建物所有者や利用者の健康に直接影響を与える可能性があります
環境省の報告によると、アスベストは肺がんや中皮腫の原因となることが知られています。

3.2 折半屋根カバー工法の適用メリット

波型スレート屋根に折半屋根カバー工法を適用することで、以下のようなメリットが得られます。

  1. アスベスト飛散防止
  2. 構造強度の向上
  3. 防水性能の改善
  4. 断熱性能の向上
  5. 美観の向上

3.2.1 アスベスト飛散防止

既存の波型スレート屋根を撤去せずに新しい折半屋根で覆うことで、アスベストの飛散を防ぐことができます。
これは作業者の安全確保と環境保護の両面で非常に重要なポイントです。

3.2.2 構造強度の向上

折半屋根は軽量でありながら高い強度を持つため、既存の波型スレート屋根の上に設置することで建物全体の構造強度が向上します。
国土交通省の建築基準法関連情報によると、適切な施工により建物の耐震性能も向上する可能性があります。

3.2.3 防水性能の改善

折半屋根は高い防水性能を持つため、雨漏りのリスクを大幅に低減できます。
特に、経年劣化により防水性能が低下した波型スレート屋根に対して効果的です。

4. 折半屋根カバー工法のメリット

折半屋根カバー工法には、既存の屋根を活かしながら新しい屋根を設置するという特徴があり、多くのメリットがあります。
ここでは、主な利点について詳しく解説します。

4.1 耐久性の向上

折半屋根カバー工法を施すことで、屋根の耐久性が大幅に向上します。

4.1.1 防水性能の強化

新しい折半屋根材を既存の屋根の上に設置することで、二重の防水層が形成されます
これにより、雨漏りのリスクが大幅に低減され、建物内部を湿気や水害から守ることができます。
適切に施工された折半屋根は30年以上の耐用年数が期待できるとされています。

4.1.2 耐風性の改善

折半屋根カバー工法では、新しい屋根材を強固に固定するため、強風に対する抵抗力が向上します。
台風や突風による屋根材の剥離や飛散のリスクが低減されます。

4.2 断熱性能の改善

折半屋根カバー工法は、建物の断熱性能を大幅に向上させる効果があります。

4.2.1 空気層による断熱効果

既存の屋根と新しい屋根の間に生まれる空気層が、自然な断熱材の役割を果たします。
これにより、夏は室内への熱の侵入を抑え、冬は室内の暖かさを逃がしにくくなります。

4.2.2 追加断熱材の設置

カバー工法の施工時に、既存屋根と新しい屋根の間に断熱材を追加することも可能です。
高性能な断熱材を使用することで、建物全体の断熱性能を飛躍的に向上させることができます
これにより、冷暖房効率が改善され、エネルギーコストの削減にもつながります。

4.3 工期の短縮

折半屋根カバー工法は、従来の屋根の全面改修に比べて工期を大幅に短縮できるメリットがあります。

4.3.1 既存屋根の撤去不要

既存の屋根を撤去する必要がないため、解体作業にかかる時間と労力を省くことができます。
これにより、全体の工期が短縮されるだけでなく、解体時の騒音や粉塵の発生も最小限に抑えられます。

4.3.2 天候に左右されにくい施工

既存の屋根が残っているため、急な雨でも建物内部への雨水の侵入を防ぐことができます。
これにより、天候に左右されずに施工を進めることが可能となり、予定通りの工期で完了させやすくなります。

4.4 コスト効率

折半屋根カバー工法は、長期的に見てコスト効率の高い選択肢となります。

4.4.1 初期投資の抑制

既存屋根の撤去や処分にかかるコストが不要なため、全面改修と比較して初期投資を抑えることができます。
国土交通省の統計によると、カバー工法は全面改修と比べて約20-30%のコスト削減が可能とされています。

4.4.2 メンテナンスコストの低減

新しい屋根材を使用することで、メンテナンス頻度が減少し、長期的な維持管理コストを抑えることができます。
また、断熱性能の向上により、冷暖房費の削減も期待できます。

4.5 環境負荷の軽減

折半屋根カバー工法は、環境に配慮した屋根改修方法として注目されています。

4.5.1 廃棄物の削減

既存屋根を撤去しないため、廃棄物の発生量を大幅に削減できます
これは、産業廃棄物処理場の負担軽減につながり、環境保護の観点から重要な利点となります。

4.5.2 省エネルギー効果

断熱性能の向上により、建物全体のエネルギー効率が改善されます。
これは、CO2排出量の削減につながり、地球温暖化対策にも貢献します。

メリット 詳細 効果
耐久性向上 二重の防水層形成、耐風性改善 雨漏り防止、台風対策
断熱性能改善 空気層による断熱、追加断熱材の設置 冷暖房効率向上、省エネ
工期短縮 既存屋根撤去不要、天候に左右されにくい 迅速な改修、業務への影響最小化
コスト効率 初期投資抑制、メンテナンスコスト低減 長期的な費用対効果向上
環境負荷軽減 廃棄物削減、省エネルギー効果 環境保護、CO2排出量削減

以上のように、折半屋根カバー工法には多くのメリットがあります。
建物の状態や予算、環境への配慮など、様々な観点から総合的に判断し、最適な屋根改修方法を選択することが重要です。

5. 折半屋根カバー工法の注意点

折半屋根カバー工法は効果的な屋根改修方法ですが、施工にあたっては以下の点に注意が必要です。

5.1 建物の構造強度の確認

折半屋根カバー工法を施工する際、最も重要なのは建物の構造強度の確認です。
既存の屋根に新しい屋根材を重ねるため、建物全体への負荷が増加します。

5.1.1 構造計算の必要性

専門の建築士による構造計算が不可欠です。
建物の耐荷重を超えると、最悪の場合、屋根の崩落や建物全体の倒壊につながる可能性があります

5.1.2 補強工事の検討

構造計算の結果、現状の建物では荷重に耐えられないと判断された場合、以下のような補強工事が必要になることがあります。

  • 柱や梁の補強
  • 基礎の補強
  • 筋交いの追加

これらの補強工事は追加コストが発生しますが、安全性を確保するために必要不可欠な場合があります。

5.2 適切な施工業者の選択

折半屋根カバー工法の成否は、施工業者の技術力と経験に大きく左右されます。
適切な業者選びが重要です。

5.2.1 業者選定のポイント

項目 確認内容
実績 折半屋根カバー工法の施工実績件数と内容
資格 建設業許可、屋根工事技能士の在籍など
保証 施工後の保証内容と期間
評判 過去の顧客からの評価や口コミ

複数の業者から見積もりを取り、内容を比較することが大切です。
単に価格だけでなく、使用する材料の品質や施工方法の詳細まで確認しましょう。

6. 折半屋根カバー工法の費用相場

6.1 面積別の概算費用

折半屋根カバー工法の平均的な工事費用は、一般的に1平方メートルあたり15,000円から25,000円程度です。
ただし、この費用は建物の規模や状態、地域によって大きく変動します。
以下の表は、一般的な面積別の概算費用を示しています。

屋根面積 概算費用(税込)
50㎡未満 80万円~150万円
50㎡~100㎡ 150万円~300万円
100㎡~200㎡ 300万円~600万円
200㎡以上 600万円~

これらの価格は目安であり、実際の費用は様々な要因によって変動することに注意してください。
実際の費用は、現地調査後に正確な見積もりが出されるため、まずは専門業者に相談することをおすすめします。

6.2 費用に影響する要因

6.2.1 建物の規模と形状

建物の面積が大きくなるほど、1平方メートルあたりの単価は下がる傾向にあります。
また、屋根の形状が複雑な場合は、作業工程が増えるため費用が上昇します。

6.2.2 既存屋根の状態

既存の折半屋根や波型スレート屋根の劣化状態によっては、下地の補修や部分的な交換が必要になる場合があり、これらの追加作業が費用を押し上げる要因となります。

6.2.3 使用する材料の品質

高品質な折半屋根材を使用する場合、初期費用は高くなりますが、耐久性や断熱性能が向上し、長期的にはメンテナンス費用の削減につながる可能性があります。

6.2.4 断熱材の使用

断熱性能を向上させるために断熱材を追加する場合、費用が増加しますが、長期的には省エネ効果が期待できます。

6.2.5 施工の難易度

建物の高さや周辺環境によっては、特殊な足場や重機が必要になる場合があり、これらの要因も費用に影響します。

6.3 見積もり取得のポイント

折半屋根カバー工法の正確な費用を把握するためには、複数の業者から見積もりを取得することが重要です。
以下のポイントに注意しましょう。

  1. 現地調査の実施:必ず現地を確認してもらい、詳細な状況を把握した上での見積もりを依頼する
  2. 使用材料の明細:使用する折半屋根材や下地材の種類、品質、数量を明確にしてもらう
  3. 工事範囲の確認:カバー工法以外の付帯工事(軒樋の交換など)が含まれているかを確認する
  4. 保証内容の確認:工事後の保証期間や保証内容を明確にしてもらう
  5. 工期の確認:作業期間や天候による影響をどのように考慮しているかを確認する

これらの情報を比較検討することで、より適切な業者選択と費用計画が可能になります。

7. 折半屋根カバー工法のよくある質問

7.1 耐用年数はどのくらい?

折半屋根カバー工法の耐用年数は、使用する材料や施工方法によって異なりますが、一般的には20年から30年程度と言われています。
適切なメンテナンスを行うことで、さらに長持ちさせることも可能です。

7.1.1 耐用年数に影響を与える要因

  • 使用する金属材料の種類(ガルバリウム鋼板、ステンレス鋼板など)
  • 塗装の品質と厚み
  • 施工技術の精度
  • 設置環境(海岸部や工業地帯など)
  • 定期的なメンテナンス実施の有無

耐用年数を最大限に延ばすためには、国土交通省が推奨する定期点検を行い、早期に問題を発見し対処することが重要です。

7.2 施工中の雨対策は?

折半屋根カバー工法の施工中の雨対策は非常に重要です。
一般的に以下のような対策が取られます:

7.2.1 主な雨対策

  1. 天候予報の確認と工程調整
  2. 防水シートの使用
  3. 部分的な施工と養生

防水シートの使用は最も一般的な方法で、既存の屋根の上に一時的に設置し、雨水の侵入を防ぎます。
施工業者は、気象庁の天気予報を常に確認し、降雨が予想される場合は工程を調整します。
さらに、一度に全体を施工するのではなく、部分的に施工を進め、その都度養生を行うことで、雨のリスクを最小限に抑えます。

7.3 既存屋根は撤去する必要がある?

折半屋根カバー工法の大きな特徴は、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根を被せることです。
通常、既存屋根を撤去する必要はありません。
これには以下のようなメリットがあります。

7.3.1 既存屋根を残すメリット

  • 工期の短縮
  • 廃棄物の削減
  • コストの削減
  • 施工中の建物内部への雨漏りリスクの低減

ただし、以下のような場合は既存屋根の部分的または全体的な撤去が必要になることがあります。

7.3.2 既存屋根の撤去が必要な場合

  • 既存屋根の劣化が著しく、構造的な問題がある場合
  • 建物の構造耐力に問題がある場合
  • 法規制により重ね葺きが認められない場合

既存屋根の状態や建物の構造については、日本建築防災協会などの専門機関に相談することをお勧めします。

7.4 折半屋根カバー工法は断熱性能を向上させるか?

はい、折半屋根カバー工法は適切に施工すれば断熱性能を向上させることができます。
以下のような方法で断熱性能を高めることが可能です。

7.4.1 断熱性能向上の方法

  1. 既存屋根と新設屋根の間に断熱材を挿入
  2. 高反射率塗料の使用
  3. 通気層の確保

断熱材の挿入は最も効果的な方法です。
グラスウールやポリスチレンフォームなどの断熱材を使用することで、夏の熱気や冬の冷気を効果的に遮断できます。

また、高反射率塗料を新設屋根に塗布することで、太陽光の反射率を高め、建物内部への熱の侵入を抑制することができます。
これは特に夏場の冷房効率の向上に効果的です。

断熱性能の向上は、環境省の温室効果ガス排出削減目標にも貢献する重要な要素です。

7.5 折半屋根カバー工法は騒音を軽減できるか?

折半屋根カバー工法は、適切な材料と施工方法を選択することで、騒音を軽減する効果があります。
主に以下のような方法で騒音軽減を図ることができます。

7.5.1 騒音軽減の方法

  • 防音性能の高い屋根材の選択
  • 断熱材の使用による吸音効果
  • 屋根裏空間の確保による音の拡散

防音性能の高い屋根材を選択することで、雨音や外部騒音を効果的に軽減できます。
また、断熱材は熱だけでなく音も吸収する効果があるため、適切な断熱材の使用は騒音軽減にも寄与します。

さらに、既存屋根と新設屋根の間に適切な空間を設けることで、音の反射や共鳴を抑制し、騒音をさらに軽減することができます。

騒音対策の重要性については、環境省の騒音規制法でも言及されています。
特に工場や倉庫など、大型の建築物では周辺環境への配慮が求められます。

7.6 折半屋根カバー工法は建物の重量に影響するか?

折半屋根カバー工法を実施すると、新たな屋根材や断熱材の追加により建物の重量が増加します。
しかし、その影響は以下の要因によって変わってきます。

7.6.1 重量に影響する要因

要因 影響
使用する屋根材の種類 軽量な材料を選択することで重量増加を最小限に抑えられる
断熱材の種類と厚さ 高性能な薄型断熱材を使用することで重量増加を抑制できる
既存屋根の状態 既存屋根の一部撤去が必要な場合、重量増加が相殺される可能性がある

建物の構造耐力の確認は非常に重要です。
施工前に必ず建築士や構造技術者による調査を行い、追加重量に耐えられるかを確認する必要があります。

重量増加が構造上問題となる場合は、軽量な材料の選択や部分的な補強工事を検討します。
建築基準法に基づく構造計算については、国土交通省の建築確認手続きを参照することをお勧めします。

7.7 折半屋根カバー工法は建物の外観を大きく変えるか?

折半屋根カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根を設置するため、建物の外観に変化をもたらす可能性があります。
ただし、その変化の程度は以下の要因によって異なります。

7.7.1 外観変化に影響する要因

  • 新設屋根材の色や形状
  • 既存屋根との高さの差
  • 軒先や壁との取り合い部分の処理方法

外観の変化を最小限に抑えたい場合は、既存屋根に近い色や形状の屋根材を選択することで対応可能です。
一方で、建物の印象を一新したい場合は、あえて異なるデザインの屋根材を選ぶこともできます。

外観の変更が建築基準法や景観条例に抵触する可能性がある場合は、事前に国土交通省の景観行政や地方自治体の建築指導課に確認することをお勧めします。

7.8 折半屋根カバー工法は太陽光パネルの設置に影響するか?

折半屋根カバー工法を実施した後でも、太陽光パネルの設置は可能です。
むしろ、新しい屋根面ができることで、より効率的な太陽光パネルの設置が可能になる場合もあります。

7.8.1 太陽光パネル設置時の考慮点

  1. 新設屋根の強度確認
  2. 太陽光パネルの取り付け方法の検討
  3. 屋根の傾斜角度と方位の最適化
  4. 防水性能の確保

新設屋根の強度確認は特に重要です。
太陽光パネルの重量と風圧に耐えられる構造であることを確認する必要があります。

また、取り付け方法の検討も重要です。
折半屋根の場合、専用の取り付け金具を使用することで、屋根に穴を開けずに太陽光パネルを設置できる工法もあります。

太陽光発電システムの設置に関する詳細な情報は、経済産業省の再生可能エネルギー固定価格買取制度のウェブサイトで確認できます。

8. まとめ

折半屋根カバー工法は、既存の折半屋根や波型スレート屋根の問題を効果的に解決する革新的な方法です。
耐久性の向上、断熱性能の改善、工期の短縮、コスト効率の良さなど、多くのメリットがあります。
特に、工場や倉庫、体育館などの大型施設において、その効果を発揮します。
ただし、建物の構造強度の確認や適切な施工業者の選択、法規制への対応など注意点もあります。
工事費用は建物の規模や状態によって異なりますが、長期的には従来の屋根改修方法よりも経済的である場合が多いです。
折半屋根カバー工法は、既存の屋根を生かしながら建物の寿命を延ばし、快適性を向上させる優れた選択肢と言えるでしょう。

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