折半屋根カバー工法とは
折半屋根カバー工法は、既存の折半屋根や波型スレート(大波・小波スレート)の上に新しい折半屋根を被せる改修工法です。
カバー工法は、屋根の寿命を延ばし断熱性能を向上させるというメリットがあります。
折半屋根の特徴とメリット
折半屋根は、工場や倉庫、体育館などの大型建築物でよく使われている屋根材です。
主な特徴として。
■ 軽量で施工が容易。
■ コストパフォーマンスが高い。
■ 経年劣化による錆びや腐食を抑えられる。
■ 結露や漏水のリスクの解消。
■ 断熱性能を高めるなど。
特に、経年劣化による問題は深刻で、屋根の寿命が近づくにつれて様々な不具合が発生します。
国土交通省の調査によると、折半屋根の耐用年数は約20〜30年とされています。
カバー工法の主な利点
利点 | 詳細 |
---|---|
工期の短縮 | 既存屋根の撤去が不要なため通常の屋根改修よりも工期が短い |
コスト削減 | 撤去費用や廃棄物処理費用が削減できる |
建物への負担軽減 | 既存屋根を活かすため、建物構造への負担が少ない |
断熱性能の向上 | 新旧屋根間の空間が断熱層となり断熱効果が高まる |
防水性能の向上 | 新しい屋根材による二重の防水効果が期待できる |
折半屋根カバー工法は、既存の屋根を活かしながら新しい屋根の性能を付加できる効率的な改修方法です。
気象庁のデータによると、近年の気候変動により豪雨や強風が増加傾向にあり、屋根の耐久性向上は重要な課題となっています。
このような背景から、折半屋根カバー工法の需要が高まっています。
適用可能な屋根の種類
折半屋根カバー工法は、以下のような既存屋根に適用可能です。
■ 折半屋根
■ 波型スレート屋根
■ 金属屋根(ガルバリウム鋼板など)
■ 一部のFRP屋根など。
ただし、既存屋根の状態や建物の構造によっては適用できない場合もあるため、専門家による事前調査が必要です。
折半屋根カバー工法の適用事例
折半屋根カバー工法は、様々な建築物で活用されています。
代表的な適用事例としては。
■ 工場施設:生産ラインを止めずに屋根改修が可能
■ 倉庫:保管物への影響を最小限に抑えながら改修可能
■ 体育館:活動を中断せずに屋根の性能向上が可能
■ 商業施設:営業を継続しながら屋根改修が可能
これらの事例から、折半屋根カバー工法は建物の用途や運用状況に柔軟に対応できる改修方法であることがわかります。
日本建築士会連合会の報告によると、特に大型建築物の屋根改修において、この工法の採用率が年々増加しているとのことです。
折半屋根、大波・小波スレート屋根の雨漏り修理やカバー工法例を掲載しています。 |
折半屋根カバー工法の実例紹介
オフィス兼工場屋根の施工事例
工場施設のように面積が広い屋根は、カバー工法による効果が大きく発揮される場所です。
ある印刷会社のオフィス兼工場の施工事例を紹介します。
施工前の状況
折半屋根に積もった雪と雨の影響で雨漏りが発生していました。
生産ラインへの影響を最小限に抑えるため、屋根の全面交換ではなくカバー工法が選択されました。
施工内容
既存屋根の上に空調の室外機が10機前後、消火用タンクもあり重機を使って移動しながらの施工。
断熱材の設置、新しい折半屋根パネルの取り付け、雨どいの軒樋取り換え。
施工結果
工期約1ヶ月で完了し、生産ラインを止めることなく施工できました。
カバー工法により、雨漏りが解消され、結露防止・冷暖房費の節約にもなりました。
会社屋根の施工事例
屋根勾配の影響で築年数が浅くても雪で雨漏りする事例がありますが、カバー工法勾配対策を施した施工事例をご紹介します。
施工前の状況
隣が家事になった影響で屋根が陥没、保証で一部分は取り換えてもらったが変形し凹んだ影響から積雪や大雨で雨漏りするようになったそうです。
施工内容
既存の折半屋根にカバー工法した後、屋根の接続部分から雨水が入り込まないよう傘型板金を加工して取り付け、二重の安全策を講じました。
事務所兼工場の小波スレート屋根の施工事例
築40~50年経過するオフィス兼工場の小波スレートへの折半屋根カバー工法の事例です。
施工前の状況
経年劣化によって一部雨漏りしていた。
施工内容
波型スレート屋根に下地鉄骨を取り付けたカバー工法。
ルーフファン取り換え、ダクト廻りの構造変更。外壁の波型スレートに角波鉄板でカバー工法
施工結果
屋根と外壁、サッシなどを含む外回りを全て新しくしたため新築のように変貌。
屋根と外壁をカバー工法をする前に工場内の骨組み下地を鉄骨で補強したことで耐震性もアップしました。
ハウスメーカー折半屋根の施工事例
築39年、修理や塗装を繰り替えしたハウスメーカーの折半屋根をカバー工法した施工事例をご紹介します。
施工前の状況
近隣で遊ぶ子供による投石等で穴が空いた折半屋根、何度かコーキング補修していたが修理するより屋根全体を変えた方が良いと考えたそうです。
施工内容
断熱効果を高めるため、グラスウール断熱材を敷いてカバー工法。
屋根から雨樋へ流れる雨水がオーバーフロー気味だったので軒先をカットして長さを調整。
傷んだ駐車場の塩ビ波板も取り換え。 実際の施工事例はコチラ
波型スレート(大波・小波スレート)屋根への折半屋根カバー工法
(貸し倉庫の大波スレート屋根にカバールーフを施工した例)
波型スレート屋根は、かつて多くの工場や倉庫で使用されてきましたが、経年劣化による問題が顕在化しています。
折半屋根カバー工法は、これらの問題を効果的に解決する方法として注目されています。
波型スレートにカバー工法するメリット
アスベスト飛散防止
既存の波型スレート屋根を撤去せずに新しい折半屋根を重ね葺きすることで、アスベストの飛散を防ぐことができます。
これは作業者の安全確保と環境保護の両面で非常に重要なポイントです。
構造強度の向上
折半屋根は軽量でありながら高い強度を持つため、既存の波型スレート屋根の上に設置することで建物全体の構造強度が向上します。
国土交通省の建築基準法関連情報によると、適切な施工により建物の耐震性能も向上する可能性があります。
防水性能の改善
折半屋根は高い防水性能を持つため、雨漏りのリスクを大幅に低減できます。
特に、経年劣化により防水性能が低下した波型スレート屋根に対して効果的です。
折半屋根カバー工法のよくある質問
耐用年数はどのくらいですか?
折半屋根カバー工法の耐用年数は、使用する材料や施工方法によって異なりますが、一般的には20年から30年程度と言われています。
適切なメンテナンスを行うことで、さらに長持ちさせることも可能です。
耐用年数に影響を与える要因として。
使用する金属材料の種類(ガルバリウム鋼板、ステンレス鋼板など)、塗装の品質と厚み、施工技術の精度、設置環境(海岸部や工業地帯など)、定期的なメンテナンス実施の有無などがあります。
耐用年数を最大限に延ばすためには、国土交通省が推奨する定期点検を行い、早期に問題を発見し対処することが重要です。
施工中の雨対策は?
折半屋根カバー工法の施工中の雨対策は非常に重要です。
一般的に以下のような雨対策が取られます。
■ 天候予報の確認と工程調整
■ 防水シートの使用
■ 部分的な施工と養生など。
防水シートの使用は最も一般的な方法で、既存屋根の上に一時的に設置し、雨水の侵入を防ぎます。
施工業者は、気象庁の天気予報を常に確認し、降雨が予想される場合は工程を調整します。
さらに、一度に全体を施工するのではなく部分的に施工を進め、その都度養生を行うことで、雨のリスクを最小限に抑えられます。
既存屋根を撤去する必要はありますか?
折半屋根カバー工法の大きな特徴は、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根を被せる工法のため既存屋根を撤去する必要はありません。
これには以下のようなメリットがあります。
既存屋根を残すメリット
■ 工期の短縮
■ 廃棄物の削減
■ コストの削減
■ 施工中の建物内部への雨漏りリスクの低減など。
ただし、以下のような場合は既存屋根の部分的または全体的な撤去が必要になることがあります。
既存屋根の撤去が必要な場合
■ 既存屋根の劣化が著しく、構造的な問題がある場合
■ 建物の構造耐力に問題がある場合
■ 法規制により重ね葺きが認められない場合など。
既存屋根の状態や建物の構造については、日本建築防災協会などの専門機関に相談することをお勧めします。
カバー工法すると断熱性能も向上しますか?
はい、折半屋根へのカバー工法は適切な施工をすれば断熱性能を向上させることができます。
既存屋根と新設屋根の間にグラスウールやポリスチレンフォームなどの断熱材を挿入することで、夏の熱気や冬の冷気を効果的に遮断できます。
また、既存屋根と新設屋根の間に通気層ができる事でも断熱効果が高まります。
断熱性能の向上は、環境省の温室効果ガス排出削減目標にも貢献する重要な要素です。
折半屋根カバー工法は、騒音を軽減させる効果がありきますか?
折半屋根カバー工法は、適切な材料と施工方法を選択することで、騒音を軽減する効果があります。
主に以下のような方法で騒音軽減を図ることができます。
騒音軽減の方法
■ 防音性能の高い屋根材の選択
■ 断熱材の使用による吸音効果
■ 屋根裏空間の確保による音の拡散など。
防音性能の高い屋根材を選択することで、雨音や外部騒音を効果的に軽減できます。
また、断熱材は熱だけでなく音も吸収する効果があるため、適切な断熱材の使用は騒音軽減にも寄与します。
さらに、既存屋根と新設屋根の間に適切な空間を設けることで、音の反射や共鳴を抑制し、騒音をさらに軽減することができます。
騒音対策の重要性については、環境省の騒音規制法でも言及されています。
特に工場や倉庫など、大型の建築物では周辺環境への配慮が求められます。
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