屋根カバー工法を検討中の方必見!この記事では、屋根カバー工法のメリット・デメリットを費用や重量増加、通気性といった観点から解説します。
さらに、葺き替えや塗装といった他の屋根リフォームについても触れているので、最適な工法を選択する判断材料になります。

1. 屋根のカバー工法とは?

屋根カバー工法の施工法
屋根カバー工法とは、既存の屋根材を撤去せずに、その上に新しい屋根材を被せる工法です。
葺き替えと比べて、工事期間が短く、既存の屋根材を撤去する手間や廃材処理費用が掛からないのでコスト削減につながります。

既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねるため、屋根の重量が増加します。
そのため、建物の構造によっては、補強工事が必要になる場合もあります。
また、既存の屋根材に問題がある場合は、カバー工法ではなく、葺き替えが必要となる場合もあります。
屋根の劣化状況によっては、カバー工法が適用できない場合があるため専門家による事前診断が必要です。

1.1 屋根カバー工法、葺き替えとの違い

屋根のリフォームには、主に「葺き替え」と「カバー工法」の2種類があります。
葺き替えは既存の屋根材を全て撤去し、新しい屋根材に交換する工法です。
一方、カバー工法は既存の屋根材を撤去せず、その上に新しい屋根材を被せる工法です。
それぞれの工法の特徴を比較してみましょう。

項目 葺き替え カバー工法
費用 高額 比較的安価
工期 長い 短い
廃材 発生する 発生しない
既存屋根の状態確認 可能 難しい
屋根の重量 変わらない、もしくは軽量化 増加

1.2 屋根カバー工法に適した屋根材

カバー工法で用いられる屋根材は、主に金属屋根材です。
ガルバリウム鋼板などの金属屋根材は、軽量で耐久性に優れているため、カバー工法に適しています。
代表的な屋根材は金属屋根材(ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板など)です。
これらの屋根材は、既存の屋根材への負担を軽減し、長期的に屋根を保護する役割も果たします。
屋根の形状や既存の屋根材の種類によって、適切な工法や屋根材を選ぶことが重要です。

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2. 屋根カバー工法のメリット

カバー工法、施工法のメリット
屋根カバー工法には、葺き替え工事や塗装工事といった他の屋根リフォーム方法と比べて、様々なメリットがあります。

2.1 工期が短い

既存の屋根材を撤去する必要がないため葺き替え工事よりも工期が短くなります。
工期が短いということは、工事期間中の騒音や粉塵の発生を抑えられるだけでなく、人件費の削減にもつながり工事費用を抑えることができます。

2.2 費用が安い

葺き替え工事と比較して、既存屋根の撤去・処分費用がかからないため費用を抑えることができます。
また、工期が短いことも費用削減に貢献します。

2.3 廃材が出ない

既存の屋根材をそのまま利用するため産業廃棄物が出ません
環境への負荷を低減できる、地球に優しい工法と言えます。

2.4 断熱性・遮音性の向上

新しい屋根材を既存の屋根材の上に被せるため断熱性・遮音性が向上します。
夏は涼しく、冬は暖かい住環境を実現し省エネ効果も期待できます。

2.5 既存屋根の保護

新しい屋根材が既存の屋根材を覆うことで風雨や紫外線から屋根を守り、劣化を防ぎます
既存屋根の寿命を延ばす効果が期待できます。

工法 メリット デメリット
カバー工法 工期が短い
費用が安い
廃材が出ない
断熱性・遮音性の向上
既存屋根の保護
重量増加
通気性の悪化
既存屋根の状態確認の難しさ
葺き替え工事 耐久性が高い
デザインの自由度が高い
下地材の補修が可能
工期が長い
費用が高い
廃材が出る
塗装工事 費用が安い
工期が短い
耐久性が低い
下地材の補修ができない

上記は一般的な比較であり、建物の状況や使用する材料によってメリット・デメリットは変化します。

3. 屋根カバー工法のデメリット

屋根カバー工法、施工法のデメリット
屋根カバー工法は、工事期間が短く、費用を抑えられるといったメリットがありますが、デメリットも存在します。
屋根カバー工法の主なデメリットは以下の通りです。

3.1 屋根カバー工法のデメリット:費用

屋根カバー工法は葺き替えよりも費用を抑えられますが塗装工事と比べると高額になります。
また、既存屋根の状態によっては下地処理が必要になり、追加費用が発生する可能性もあります。
事前にしっかりと見積もりを確認し、想定外の費用が発生しないか確認することが重要です。

3.2 屋根カバー工法のデメリット:重量増加

既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねるため屋根の重量が増加します。
家屋の構造によっては耐震性が低下する可能性もあるため、事前に建物の構造を確認し、耐震診断を行うことが推奨されます。

3.3 屋根カバー工法のデメリット:通気性の悪化

屋根カバー工法では、既存の屋根材と新しい屋根材の間に隙間が少なくなるため、通気性が悪化する可能性があります。
通気性が悪くなると、屋根材の劣化が早まったり、結露が発生しやすくなったりするため、適切な換気対策が必要です。
通気性の良いカバー工法専用の屋根材を使用する、棟換気を取り付けるなどの対策が有効です。

3.4 屋根カバー工法のデメリット:既存屋根の状態確認の難しさ

屋根カバー工法では、既存の屋根材を撤去しないため、既存屋根の状態を直接確認することができません。
既存屋根に腐食や破損などの問題があっても発見が遅れる可能性があるため、既存屋根の状態を詳しく調査することが重要です。

デメリット 詳細 対策
費用 葺き替え工事より安価だが、塗装工事より高額。下地処理で追加費用が発生する可能性も。 複数業者から見積もりを取り、比較検討する。
重量増加 既存屋根の上に新しい屋根材を重ねるため、家屋の構造によっては耐震性が低下する可能性も。 耐震診断を行う。
通気性の悪化 屋根材の劣化促進や結露発生の可能性。 通気性の良い屋根材や棟換気を使用する。
既存屋根の状態確認の難しさ 既存屋根の腐食や破損の発見が遅れる可能性。 屋根や下地の劣化状態を調査する。

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4. 職人の技術不足による工事のデメリット

屋根カバー工法工事のデメリット
屋根カバー工法は、職人の技術力によって仕上がりが大きく左右されます。
技術不足の職人に工事を依頼すると、様々なデメリットが発生する可能性があります。

4.1 雨漏りリスクの増加

雨漏りリスク
最も注意すべき点は雨漏りです。
技術不足の職人は、既存屋根材の劣化状態を適切に判断できなかったり新しい屋根材を適切に固定できないと、雨水が侵入しやすくなり、雨漏りのリスクが高まります。
特に、棟板金の接合部や谷板金の部分は、雨水が集中しやすいため高度な防水技術が求められます。

4.2 不適切な施工事例

以下は、職人の技術不足による不適切な施工事例です。

4.2.1 事例1:棟板金の不適切な施工

棟板金の間違った施工
棟板金は屋根の頂点部分に取り付けられる板金で、雨水の侵入を防ぐ重要な役割を果たします。
棟板金の接合部が適切に処理されていなかったり固定が不十分だと雨漏り原因になる可能性があります。

4.2.2 事例2:防水シートの破損

防水シートの破損
カバー工法では、既存の屋根材の上に防水シートを敷設することが一般的です。
しかし、技術不足の職人が施工すると防水シートを破損させてしまうことがあります。
防水シートが破損していると、雨水が屋根材の下に侵入し雨漏りを引き起こします。

4.2.3 事例3:屋根材のズレ

屋根材がズレる原因
強風や地震などで屋根材がズレてしまうことがあります。
屋根材を適切に固定できないと、ズレが生じやすくなります。
屋根材がズレると雨漏り原因だけでなく、屋根材の破損にもつながる可能性があります。

4.3 技術不足が原因の屋根の劣化

ガルバリウム屋根の剥がれ
技術不足の職人が施工した屋根は、耐久性が低く早期に劣化してしまう可能性があります。
また、不適切な施工により雨漏りが発生すると、屋根材だけでなく、家の構造部分まで腐食させてしまう可能性があります。
屋根の劣化を防ぐためには、経験豊富で技術力の高い職人に工事を依頼することが重要です。

5. 屋根カバー工法以外の屋根リフォーム方法

屋根カバー工法以外のリフォーム方法
屋根のリフォーム方法は、屋根カバー工法以外にもいくつかあります。
ここでは、代表的な工法である葺き替え工事と塗装工事について解説します。

工法 葺き替え工事
概要 既存の屋根材を全て撤去し、新しい屋根材に葺き替える工法
メリット 屋根の軽量化、下地の補修が可能、デザイの変更が可能
デメリット 費用が高い、工期が長い、騒音や粉塵が発生する
費用相場 約150万円~300万円
耐用年数 約20年~40年
   
工法 塗装工事
概要 既存の屋根材の上に塗料を塗布する工法
メリット 費用が安い、工期が短い、屋根材の保護になる
デメリット 下地の劣化には対応できない、屋根材の種類によっては施工できない、耐用年数が短い
費用相場 約50万円~100万円
耐用年数 約10年~15年

それぞれの工法にはメリット・デメリットがあり、建物の状態や予算に合わせて最適な工法を選ぶことが重要です。
屋根リフォームの際は、複数の業者から見積もりを取り、しっかりと比較検討しましょう。
詳しくは、国土交通省のホームページも参考にしてください。

6. まとめ

屋根カバー工法は、既存の屋根材を撤去せずに新しい屋根材を被せるため、工事期間の短縮やコスト削減といったメリットがあります。
しかし、重量増加や通気性の悪化、既存屋根の状態確認の難しさといったデメリットも存在します。
特に、職人の技術不足は雨漏りなどの深刻な問題を引き起こす可能性があります。
棟板金の不適切な施工や防水シートの破損、屋根材のズレといった事例は、職人の技術不足が原因のことが多いです。
屋根の葺き替えや塗装といった他のリフォーム方法も検討し、ご自身の状況に最適な方法を選択しましょう。

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この記事を書いた人

市川 清信
市川 清信屋根無料見積.com運営責任者
屋根材メーカー(積水化学工業)直属の屋根診断士として活動し屋根工事・見積り経験35年・5,000件以上。
屋根工事の裏側を知り尽くした運営責任者が経験で得た専門情報をお伝えします。

また、専門資格や専門技術を持つ屋根職人が減った影響で起きている「低品質な屋根工事による被害」を減らすことを目的に日本屋根業者サポート協会に加盟する屋根職人とお客様との橋渡しをする活動を行っており、悪質業者による被害を減らすため900件以上の屋根相談、ボッタクリ被害を減らすための見積書診断サービスを180件以上行っています。