
このページでは、ガルバリウムに葺き替え・カバー工法した場合の施工不良と経年劣化いう2つの視点から解説します。
ガルバリウム鋼板屋根の劣化症状
ガルバリウム鋼鈑屋根は、築年数が5年を過ぎると屋根の塗装が劣化し始め、10~15年では劣化が目立ってくる可能性があり、築15年を過ぎると修理では対応できず全面リフォームが必要になることもあります。
屋根の浮きや棟剥がれによる変形
長期間使用していると、屋根を固定する釘や部材が緩んで浮きや棟剥がれなどの変形が発生することがあります。
また、強風や飛来物・積雪などによってガルバリウム鋼板屋根が凹んだり、曲がったりすることがあります。
これにより、防水性能が低下し雨風が入り込むリスクが高まります。
浮きや棟剥がれの変形を見つけた場合の注意点
■ 変形部分に触れたり、無理に直そうとしない
■ 雨漏りなどの被害がないか室内も確認する
■ 速やかに専門業者に点検を依頼する
変形を見つけたら、まずは安全を確保し専門業者による点検を依頼することが重要です。
自己判断で修理を試みることは大変危険ですので必ず専門家のアドバイスに従ってください。
屋根の浮きや棟剥がれによる変形の対策
軽度の凹みや棟剥がれなどの変形であれば、雨漏りなどの問題が発生する可能性は低いですが、大きな変形が生じている場合は屋根の強度が低下し、雨漏りのリスクが高まります。
変形の程度が大きい場合は部分的に、あるいは屋根全体を葺き替える必要がある場合もあります。
劣化症状 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
色褪せ | 紫外線、雨風 | 塗装、葺き替え |
サビ | 傷による鉄部の腐食、水分、塩分 | サビ落とし、塗装、葺き替え |
塗膜の剥がれ | 紫外線、風雨、経年劣化 | 塗装、葺き替え |
変形 | 強風、飛来物、積雪 | 変形部分の修理、葺き替え |
上記の表は一般的な情報であり、実際の症状や対策は状況によって異なります。
塗膜の剥がれ
ガルバリウム鋼板屋根の表面には、防錆効果を高めるために塗料が塗られています。
この塗膜が紫外線や風雨の影響で劣化すると剥がれやひび割れが発生します。
塗膜が剥がれると下地のガルバリウム層がむき出しになり、サビやすくなってしまうので早めに対処しないと屋根の寿命を縮める原因になります。
塗膜の剥がれは、ガルバリウム鋼板の防錆効果を低下させてしまうため早急な対策が必要です。
塗膜剥がれの対策
軽度の剥がれであれば部分的に補修塗装を行うことで対応できます。
しかし、広範囲にわたって剥がれが生じている場合は、屋根全体の塗装、あるいは屋根葺き替えなどの対策が必要になります。
サビの発生
赤サビ
ガルバリウム鋼板は、表面の塗膜にが傷つくと鋼鈑部分が露出してしまい、水分や酸素と反応して赤サビが発生します。
赤サビは進行すると腐食が広がり、屋根材の強度低下に繋がることがあるので早めの対策が必要です。
例えば、屋根材同士の接合部分や釘やビスの周辺に発生することが多く見られます。
赤サビは放置すると腐食が進行し、屋根材に穴が開いてしまう可能性もあります。
これは雨漏りの原因になるだけでなく、屋根の強度が低下し住宅全体の耐久性にも影響を及ぼす可能性があります。
サビの対策
軽度の赤サビであれば、サビ落としと塗装によって補修できます。
しかし腐食が進んで穴が開いてしまっている場合は葺き替えが必要です。
色褪せ
ガルバリウム鋼板屋根は、紫外線や雨風の影響で徐々に色褪せていきます。
色褪せ自体は屋根の機能に直接影響するわけではありませんが、美観を損ねるだけでなく塗膜の劣化が進んでいるサインとも言えます。
色褪せが気になる場合は、塗膜の劣化を防ぐためにメンテナンスを検討しましょう。
色褪せのサイン
■ 屋根の色が全体的に白っぽく、くすんで見える
■ 部分的に色が変わっている箇所がある
■ 触るとチョーキング現象が起こる(白い粉が付着する)
これらのサインが見られる場合は早めに対策を検討することが大切です。
色褪せの対策
色褪せが軽度の場合は、屋根の塗装を行うことで美観を回復できます。
しかし、劣化が進んで塗膜が剥がれかけている場合は、塗装だけでは十分な効果が得られないため葺き替えなどの大規模なメンテナンスが必要になることもあります。
ガルバリウム鋼板屋根の劣化原因:施工不良と経年劣化
ガルバリウム鋼板屋根の劣化原因は、大きく分けてると施工不良による劣化と自然環境による経年劣化があります。
施工不良(人的ミス)による劣化
ガルバリウム鋼板屋根の施工不良による人的ミスも劣化の大きな原因です。
例えば、屋根本体や役物の加工不良があると雨水が屋根材の下に浸入して雨漏りしたり、サビや腐食を引き起こす可能性があります。
また、釘の打ち方が甘いと強風で屋根材が剥がれたりする原因になります。
施工不良による劣化を防ぐためには、信頼できる業者に施工を依頼することが重要です。
業者を選ぶ際には、メーカーの施工仕様を守って工事している業者に依頼しましょう。
また、施工前に業者としっかりと打ち合わせを行い、施工内容を確認しておくことも大切です。
施工不良を防ぐための対策
施工技術の高い業者を選ぶ。
施工不良を防ぐためには、工事内容が重要です。
業者を選ぶ際には、以下の点を参考にするとよいでしょう。
■ ガルバリウム鋼鈑の専門業者であるか?
■ 専門資格や確かな技術があるか?
■ 保証制度が充実しているか?
■ 見積もり内容が明確であるか?
施工内容を確認する。
施工前に、業者としっかりと打ち合わせを行い、施工内容を確認しておくことも大切です。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
■ 使用する材料の種類や品質
■ 防水処理の方法や考え方
■ 屋根材の固定方法
■ 工事期間
■ 工事費用
施工不良による劣化要因 | 具体的な内容 |
---|---|
サビ | 丁寧が工事がされておらず屋根に傷がついたまま放置 |
塗膜の剥がれ | 丁寧が工事がされておらず屋根に傷がついたまま放置 |
屋根の浮き・剥がれ | 間違った工事方法 固定するネジや釘に不適切な材質、固定法の間違い 下地が傷んだいた |
雨漏り | 必要部材の不使用 間違った取り付け方法 施工不可な緩勾配屋根への施工 |
これらの劣化要因を理解し、確かな工事業者を選ぶことで、ガルバリウム鋼板屋根の寿命を延ばし、建物を長く守ることができます。
ガルバリウム鋼板の施工不良、なぜ後悔する人が増えているのか?についてはコチラ |
経年劣化(自然環境)
ガルバリウム鋼板屋根は、耐久性に優れた屋根材ですが、経年とともに劣化していくのは避けられません。
一般的に、ガルバリウム鋼板屋根の寿命は20~30年程度とされていますが、適切なメンテナンスを行うことで、さらに長くその機能を維持することができます。
しかし、どんなにメンテナンスをしても、経年劣化によって素材の強度が徐々に低下していくのは避けられません。
時間の経過とともに、ガルバリウム鋼板の表面を覆う保護層が徐々に薄くなり、サビや腐食が発生しやすくなります。
また、屋根材の接合部分のシーリング材も劣化し雨漏りの原因になることがあります。
紫外線による劣化
太陽光に含まれる紫外線は、ガルバリウム鋼板の塗膜を劣化させる大きな原因の一つです。
紫外線によって塗膜の樹脂部分が分解され、色褪せやチョーキング現象(塗膜の粉状化)を引き起こします。
これらの劣化は屋根材の美観を損なうだけでなく、防水性能の低下にもつながるため注意が必要です。
雨風による劣化
雨や風は、ガルバリウム鋼板屋根に物理的なダメージを与え劣化を促進します。
雨風による劣化が見つかった場合は速やかに補修することが大切です。
補修方法は、以下のような方法があります。
部分補修
劣化部分が小さい場合は部分的に補修できます。
例えば、塗膜が剥がれている場合は、その部分だけを再塗装したり、屋根材が破損している場合は、その部分をコーキング補修します。
全面補修
劣化が広範囲に及んでいる場合は、全面的に補修する必要があります。
例えば、屋根全体を再塗装したり、屋根材をすべてを交換したりします。
全面補修は、部分補修に比べて費用がかかりますが、屋根全体の耐久性を向上させることができるというメリットがあります。
塩害による劣化
海沿いの地域では、塩分を含んだ潮風がガルバリウム鋼板屋根に付着し腐食を引き起こすことがあります。
塩害による劣化は、海岸線から約5km以内の地域で発生しやすく、特に海岸線から1km以内の地域では塩害の影響を受けやすいと言われています。
塩害による劣化を防ぐためには、以下の方法があります。
塩害による劣化を防ぐための対策
耐塩害塗料を使用する
耐塩害塗料は、塩分に強い成分を含んでおり、塩害から屋根を守ることができます。
新規で屋根を施工する場合や、再塗装を行う場合は耐塩害塗料の使用を検討しましょう。
定期的な洗浄を行う
屋根に付着した塩分を洗い流すために、定期的に洗浄を行うことが効果的です。
ガルバリウム鋼板屋根の劣化による影響
ガルバリウム鋼板屋根の劣化を放置すると様々な影響が出てきます。
雨漏り
屋根材の劣化が進むと雨漏りのリスクが高まります。
ガルバリウム鋼板屋根は、金属の繋ぎ目部分にシーリング材が充填されていますが、経年劣化によってひび割れや剥がれが生じ、そこから雨水が侵入することがあります。
また、塗膜の剥がれやサビも、雨漏りの原因になります。
雨漏りを放置す危険性
雨漏りを放置すると、住宅の構造材や断熱材に水分が染み込み腐食やカビの発生を招きます。
木材の腐朽は、シロアリ被害のリスクを高めることにも繋がります。
また、断熱材に水分が含まれると、断熱性能が低下し冷暖房効率が悪化する原因となります。
雨漏り発生時の対策
雨漏りを見つけたら、早急に専門業者に点検と修理を依頼しましょう。
応急処置として、ブルーシートなどで屋根を覆い雨水の侵入を防ぐことが大切です。
ただし、高所での作業は危険を伴うため、無理に行わず専門業者に任せるようにしてください。
断熱性・遮熱性の低下
ガルバリウム鋼板屋根には、断熱材付きタイプで施工されることが一般的ですが、屋根材の劣化によって断熱性能が低下することがあります。
例えば、塗膜が剥がれると、太陽光を反射する効果が薄れ屋根の表面温度が上昇しやすくなります。
その結果、室内温度が上昇し冷暖房効率が悪化する可能性があります。
断熱性・遮熱性を維持するための対策
断熱性・遮熱性を維持するためには、定期的な点検とメンテナンスが重要です。
具体的には、塗膜の剥がれや劣化がないかを確認し必要に応じて塗装工事を行うようにしましょう。
また、断熱材の劣化も考えられるため専門業者による点検を依頼することも有効です。