近年人気のガルバリウム鋼板屋根ですが、経年劣化や環境によって様々な症状が現れます。
このページでは、色褪せ、サビ、塗膜の剥がれといった劣化症状について具体的に。
さらに劣化原因については、
新築時から経年劣化。
途中でガルバリウムに葺き替え・カバー工法した場合の施工不良。
という2つの視点から解説します。
ガルバリウム鋼板屋根の劣化症状
ガルバリウム鋼板屋根の耐久性は非常に優れていますが、経年劣化は避けられません。
劣化症状が確認できる場合は早めの対応が必要です。
ガルバリウム鋼板屋根は、築年数が5年を過ぎると屋根の塗装が劣化し始め、10~15年では劣化が目立ってくる可能性があり、築15年を過ぎると修理では対応できず全面リフォームが必要になることもあります。
1.色褪せ
新築時は美しい金属光沢を放つガルバリウム鋼板屋根も、紫外線や雨風の影響で徐々に色褪せていきます。
色褪せ自体は屋根の機能に直接影響するわけではありませんが、美観を損ねるだけでなく塗膜の劣化が進んでいるサインとも言えます。
色褪せが気になる場合は、塗膜の劣化を防ぐためにメンテナンスを検討しましょう。
例えば、新築時は茶色だった屋根が年数が経過すると薄茶色になっていることがあります。
これは、ガルバリウム鋼板の表面を保護している塗膜が紫外線や雨風によって劣化し、色素が分解されるために起こります。
また、地域や立地条件によっては苔やカビの発生によって色褪せて見える場合もあります。
色褪せのサイン
- 屋根の色が全体的に白っぽく、くすんで見える
- 部分的に色が変わっている箇所がある
- 触るとチョーキング現象が起こる(白い粉が付着する)
これらのサインが見られる場合は早めに対策を検討することが大切です。
専門業者に相談して最適なメンテナンス方法を見つけてもらいましょう。
色褪せの対策
色褪せが軽度の場合は、屋根の塗装を行うことで美観を回復できます。
しかし、劣化が進んで塗膜が剥がれかけている場合は、塗装だけでは十分な効果が得られないため葺き替えなどの大規模なメンテナンスが必要になることもあります。
2.サビの発生
赤サビ
ガルバリウム鋼板は、表面の塗膜にが傷つくと鋼鈑部分が露出してしまい、水分や酸素と反応して赤サビが発生します。
赤サビは進行すると腐食が広がり、屋根材の強度低下に繋がることがあるので早めの対策が必要です。
例えば、屋根材同士の接合部分や釘やビスの周辺に発生することが多く見られます。
また、台風や強風によって飛来物が当たって傷がつき、そこから赤サビが発生することもあります。赤サビは放置すると腐食が進行し、屋根材に穴が開いてしまう可能性もあります。
これは雨漏りの原因になるだけでなく、屋根の強度が低下し住宅全体の耐久性にも影響を及ぼす可能性があります。
赤サビが発生しやすい箇所
- 屋根材の切り口や重ね合わせ部分
- 釘やビスの打ち込み部分
- 傷がついた部分
- 雨水が溜まりやすい部分
これらの箇所は特に注意深く点検し、早期発見に努めましょう。
白サビ
白サビは、亜鉛が水分や酸素と反応して発生するもので赤サビほど深刻ではありません。
海岸沿いの地域では塩害の影響で白サビが発生しやすいため、こまめな点検とメンテナンスが重要です。
ガルバリウム鋼板の表面に白い粉状のものが付着している場合は、白サビが発生している可能性があります。
白サビは、亜鉛の腐食によって発生するもので初期段階では赤サビのような深刻な腐食には繋がりませんが、放置すると、やがては赤サビに進行する可能性もあるため注意が必要です。
白サビが発生しやすい箇所
- 屋根全体
- 特に、雨水や結露などが残りやすい箇所
白サビは屋根全体に発生する可能性がありますが、特に雨水や結露などが残りやすい箇所は発生しやすい傾向があります。
サビの対策
軽度の赤サビであれば、サビ落としと塗装によって補修できます。
しかし腐食が進んで穴が開いてしまっている場合は、部分的に屋根材を交換する必要がある場合もあります。
3.塗膜の剥がれ
ガルバリウム鋼板屋根の表面には、防錆効果を高めるために塗料が塗られています。
この塗膜が紫外線や風雨の影響で劣化すると剥がれやひび割れが発生します。
塗膜が剥がれると下地のガルバリウム層がむき出しになり、サビやすくなってしまうので早めに対処しないと屋根の寿命を縮める原因になります。
例えば、築年数が経過したガルバリウム鋼板屋根では、塗膜の光沢が失われ、チョーキングと呼ばれる現象が発生することがあります。
チョーキングとは、塗膜の表面が劣化し粉状になって剥がれ落ちる現象です。
また、強風や飛来物によって塗膜が剥がれてしまうこともあります。
塗膜の剥がれは、ガルバリウム鋼板の防錆効果を低下させてしまうため早急な対策が必要です。
塗膜の剥がれのサインを見分けるポイント
- 屋根の表面に光沢がなく、ザラザラしている
- 触ると白い粉が付着する(チョーキング現象)
- 塗膜が剥がれて、下地の金属部分が露出している
これらのサインに気付いたら、専門業者に点検を依頼し適切な対策を講じてもらいましょう。
早めの対応が屋根の寿命を延ばすことに繋がります。
塗膜剥がれの対策
軽度の剥がれであれば部分的に補修塗装を行うことで対応できます。
しかし、広範囲にわたって剥がれが生じている場合は、屋根全体を再塗装する、あるいは屋根葺き替えなどの対策が必要になります。
4.屋根の浮きや棟剥がれによる変形
長期間使用していると、屋根を固定する釘や部材が緩んで浮きや棟剥がれなどの変形が発生することがあります。
また、強風や飛来物・積雪などによってガルバリウム鋼板屋根が凹んだり、曲がったりすることがあります。
これにより、防水性能が低下し雨風が入り込むリスクが高まります。
浮きや棟剥がれの変形を見つけた場合の注意点
- 変形部分に触れたり、無理に直そうとしない
- 雨漏りなどの被害がないか室内も確認する
- 速やかに専門業者に点検を依頼する
変形を見つけたら、まずは安全を確保し専門業者による点検を依頼することが重要です。
自己判断で修理を試みることは大変危険ですので必ず専門家のアドバイスに従ってください。
屋根の浮きや棟剥がれによる変形の対策
軽度の凹みや棟剥がれなどの変形であれば、雨漏りなどの問題が発生する可能性は低いですが、大きな変形が生じている場合は屋根の強度が低下し、雨漏りのリスクが高まります。
また、地震などの災害時に屋根が破損する危険性もあるため早急な修理が必要です。
変形の程度が大きい場合は、部分的に、あるいは屋根全体を葺き替える必要がある場合もあります。
劣化症状 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
色褪せ | 紫外線、雨風 | 塗装、葺き替え |
サビ | 傷による鉄部の腐食、水分、塩分 | サビ落とし、塗装、葺き替え |
塗膜の剥がれ | 紫外線、風雨、経年劣化 | 塗装、葺き替え |
変形 | 強風、飛来物、積雪 | 変形部分の修理、葺き替え |
上記の表は一般的な情報であり、実際の症状や対策は状況によって異なります。
ガルバリウム鋼板屋根の劣化原因:経年劣化と施工不良
ガルバリウム鋼板屋根の劣化原因は、大きく分けて自然環境による経年劣化と施工不良による劣化原因があります。
1.経年劣化(自然環境)
ガルバリウム鋼板屋根は、耐久性に優れた屋根材ですが、経年とともに劣化していくのは避けられません。
一般的に、ガルバリウム鋼板屋根の寿命は20~30年程度とされていますが、適切なメンテナンスを行うことで、さらに長くその機能を維持することができます。
しかし、どんなにメンテナンスをしても、経年劣化によって素材の強度が徐々に低下していくのは避けられません。
時間の経過とともに、ガルバリウム鋼板の表面を覆う保護層が徐々に薄くなり、サビや腐食が発生しやすくなります。
また、屋根材の接合部分のシーリング材も劣化し、雨漏りの原因となることがあります。
紫外線による劣化
太陽光に含まれる紫外線は、ガルバリウム鋼板の塗膜を劣化させる大きな原因の一つです。
紫外線によって塗膜の樹脂部分が分解され、色褪せやチョーキング現象(塗膜の粉状化)を引き起こします。
これらの劣化は屋根材の美観を損なうだけでなく、防水性能の低下にもつながるため注意が必要です。
紫外線による劣化を防ぐためには、耐候性に優れた塗料を使用することが重要です。
また、定期的な点検を行い、劣化症状が見られる場合は早めに対処することが大切です。
雨風による劣化
雨や風は、ガルバリウム鋼板屋根に物理的なダメージを与え劣化を促進します。
長期間、雨風にさらされることで塗膜の剥がれやサビの発生につながります。
特に、台風などの強風時は飛来物による損傷のリスクも高まります。
ガルバリウム鋼板屋根の固定には、釘やビスなどの金具が使用されますが、これらの金具が緩んでいたり、腐食していると強風によって屋根材がめくれ上がったり剥がれやすくなります。
雨風による劣化が見つかった場合は速やかに補修することが大切です。
補修方法は、以下のような方法があります。
部分補修
劣化部分が小さい場合は部分的に補修できます。
例えば、塗膜が剥がれている場合は、その部分だけを再塗装したり、屋根材が破損している場合は、その部分をコーキング補修します。
全面補修
劣化が広範囲に及んでいる場合は、全面的に補修する必要があります。
例えば、屋根全体を再塗装したり、屋根材をすべて交換したりします。
全面補修は、部分補修に比べて費用がかかりますが、屋根全体の耐久性を向上させることができるというメリットがあります。
塩害による劣化
海沿いの地域では、塩分を含んだ潮風がガルバリウム鋼板屋根に付着し腐食を引き起こすことがあります。
塩分は、ガルバリウム鋼板の表面を覆う保護層を破壊しサビの発生を促進させるため、注意が必要です。
塩害による劣化は、海岸線から約5km以内の地域で発生しやすく、特に海岸線から1km以内の地域では塩害の影響を受けやすいと言われています。
また、風の強い日や波の高い日などは、より多くの塩分が飛来するため注意が必要です。
塩害による劣化を防ぐためには、以下の方法があります。
塩害による劣化を防ぐための対策
耐塩害塗料を使用する
耐塩害塗料は、塩分に強い成分を含んでおり、塩害から屋根を守ることができます。
新規で屋根を施工する場合や、再塗装を行う場合は耐塩害塗料の使用を検討しましょう。
定期的な洗浄を行う
屋根に付着した塩分を洗い流すために、定期的に洗浄を行うことが効果的です。
洗浄には高圧洗浄機を使用する方法が一般的ですが、高圧洗浄機を使用する場合は水圧を調整して屋根材を傷つけないように注意する必要があります。
また、洗浄後は十分に乾燥させることが大切です。
水滴が残っていると、そこから腐食が始まる可能性があります。
酸性雨による劣化
工場や自動車の排気ガスに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物が、雨水に溶け込むことで酸性雨ができます。
酸性雨は、ガルバリウム鋼板の表面を溶かし腐食させることがあります。
酸性雨による劣化は、都市部や工業地帯で発生しやすく、特に工場や幹線道路の近くでは注意が必要です。
酸性雨による劣化を防ぐためには、以下の方法があります。
酸性雨による劣化を防ぐための対策
耐酸性塗料を使用する
耐酸性塗料は、酸性に強い成分を含んでおり酸性雨から屋根を守ることができます。
新規で屋根を施工する場合や、再塗装を行う場合は耐酸性塗料の使用を検討しましょう。
ただし、耐酸性塗料は一般的な塗料に比べて高価であるという点がデメリットです。
定期的な洗浄を行う
屋根に付着した酸性雨を洗い流すために定期的に洗浄を行うことも効果的です。
洗浄には、中性洗剤を使用する方法が一般的ですが中性洗剤を使用する場合は、洗浄後に水で十分に洗い流すことが大切です。
洗剤が残っていると逆に屋根を傷める原因となる可能性があります。
また、洗浄後は十分に乾燥させることが大切です。
2.施工不良による人的ミスによる劣化
ガルバリウム鋼板屋根の施工不良による人的ミスも劣化の大きな原因です。
例えば、防水処理が不十分だと雨水が屋根材の下に浸入し、サビや腐食を引き起こす可能性があります。
また、釘の打ち方が甘いと、そこから雨水が浸入したり強風で屋根材が剥がれたりする原因になります。
施工不良による劣化を防ぐためには、信頼できる業者に施工を依頼することが重要です。
業者を選ぶ際には、メーカーの施工仕様を守って工事している業者に依頼しましょう。
また、施工前に業者としっかりと打ち合わせを行い、施工内容を確認しておくことも大切です。
施工不良を防ぐための対策
- 施工技術の高い業者を選ぶ:
施工不良を防ぐためには、工事内容が重要です。
業者を選ぶ際には、以下の点を参考にするとよいでしょう。- ガルバリウム鋼鈑の専門業者であるか?
- 専門資格や確かな技術があるか?
- 保証制度が充実しているか?
- 見積もり内容が明確であるか?
- 施工内容を確認する:
施工前に、業者としっかりと打ち合わせを行い、施工内容を確認しておくことも大切です。
具体的には、以下の点を確認しましょう。-
- 使用する材料の種類や品質
- 防水処理の方法や考え方
- 屋根材の固定方法
- 工事期間
- 工事費用
施工不良による劣化要因 具体的な内容 サビ 丁寧が工事がされておらず屋根に傷がついたまま放置 塗膜の剥がれ 丁寧が工事がされておらず屋根に傷がついたまま放置 屋根の浮き・剥がれ 間違った工事方法
固定するネジや釘に不適切な材質、固定法の間違い
下地が傷んだいた雨漏り 必要部材の不使用
間違った取り付け方法
施工不可な緩勾配屋根への施工これらの劣化要因を理解し、確かな工事業者を選ぶことで、ガルバリウム鋼板屋根の寿命を延ばし、建物を長く守ることができます。
ガルバリウム鋼板の施工不良、なぜ後悔する人が増えているのか?についてはコチラガルバリウム鋼板屋根の劣化による影響
ガルバリウム鋼板屋根の劣化を放置すると様々な影響が出てきます。
建物の美観を損なうだけでなく、住宅の機能性や安全性、資産価値にも関わるため注意が必要です。1.雨漏り
屋根材の劣化が進むと雨漏りのリスクが高まります。
ガルバリウム鋼板屋根は、金属の繋ぎ目部分にシーリング材が充填されていますが、経年劣化によってひび割れや剥がれが生じ、そこから雨水が侵入することがあります。
また、塗膜の剥がれやサビも、雨漏りの原因となります。-
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- 雨漏りによって天井や壁にシミができる
- カビやダニの発生により、健康被害を引き起こす可能性がある
- 建物の構造材を腐食させ強度を低下させる
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雨漏りを放置す危険性
雨漏りを放置すると、住宅の構造材や断熱材に水分が染み込み腐食やカビの発生を招きます。
木材の腐朽は、シロアリ被害のリスクを高めることにも繋がります。
また、断熱材に水分が含まれると、断熱性能が低下し冷暖房効率が悪化する原因となります。
さらに、カビやダニの発生は、アレルギー症状や呼吸器疾患などの健康被害を引き起こす可能性もあります。雨漏り発生時の対策
雨漏りを見つけたら、早急に専門業者に点検と修理を依頼しましょう。
応急処置として、ブルーシートなどで屋根を覆い雨水の侵入を防ぐことが大切です。
ただし、高所での作業は危険を伴うため、無理に行わず専門業者に任せるようにしてください。2.断熱性・遮熱性の低下
ガルバリウム鋼板屋根には、断熱材付きタイプで施工されることが一般的ですが、屋根材の劣化によって断熱性能が低下することがあります。
例えば、塗膜が剥がれると、太陽光を反射する効果が薄れ屋根の表面温度が上昇しやすくなります。
その結果、室内温度が上昇し冷暖房効率が悪化する可能性があります。断熱性・遮熱性を維持するための対策
ガルバリウム鋼板屋根の断熱性・遮熱性を維持するためには、定期的な点検とメンテナンスが重要です。
具体的には、塗膜の剥がれや劣化がないかを確認し必要に応じて塗装工事を行うようにしましょう。
また、断熱材の劣化も考えられるため専門業者による点検を依頼することも有効です。3.建物の寿命への影響
ガルバリウム鋼板屋根の劣化を放置すると、建物の寿命にも影響を及ぼします。
雨漏りによる構造材の腐食や、サビの進行によって屋根材そのものが脆くなることで建物の強度が低下する可能性があります。
最悪の場合、大規模な修繕や屋根の葺き替えが必要となり多額の費用がかかる可能性も考えられます。ガルバリウム鋼板屋根の寿命
ガルバリウム鋼板屋根の寿命は、一般的に20~30年程度と言われています。
しかし、適切なメンテナンスを行うことで、寿命を延ばすことが可能です。
日頃から屋根の状態に気を配り、定期的な点検やメンテナンスを行うようにしましょう。建物の寿命を延ばすための対策
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- 定期的な点検とメンテナンスの実施:
専門業者による定期的な点検を行い、劣化状況に応じて適切なメンテナンスを行うことが重要です。
具体的には、10年に一度を目安に専門業者による屋根の点検を依頼し、必要に応じて塗装の塗り替えや補修工事を行いましょう。
また、台風や豪雨などの後は、屋根に損傷がないかを確認することも大切です。 - 適切な環境を保つ:
ガルバリウム鋼板屋根の劣化を早める要因として、塩害や酸性雨などが挙げられます。
海沿いの地域では、塩分を含んだ潮風によって屋根材の腐食が早まる可能性があります。
また、工場地帯などでは、酸性雨の影響で、屋根材の劣化が進む可能性があります。
これらの地域では、特にこまめな点検とメンテナンスが必要です。
- 定期的な点検とメンテナンスの実施:
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まとめ
ガルバリウム鋼板屋根は、耐久性が高い屋根材ですが、経年劣化や環境の影響により、色褪せやサビ、塗膜の剥がれなどの症状が現れます。
これらの劣化症状を放置すると、雨漏りや断熱性・遮熱性の低下に繋がり、建物の寿命を縮めることにもなりかねません。
定期的な点検や清掃、必要に応じた塗装や屋根の葺き替えなどのメンテナンスを行うことで、ガルバリウム鋼板屋根の寿命を延ばし快適な住まいを長く保つことができます。 -